山口洋子の「よこはま・たそがれ」は盗作だった。

作詞家で、直木賞作家の山口洋子さんがなくなった。

追悼記事だから当然かもしれないが、新聞もテレビもいい話ばっかり。関係者から惜しむ声が相次いだ、と書いたのは朝日新聞。

歌手五木ひろしは「あの出会いがなければ五木ひろしは存在しませんでした」と語っている。

40年前の売れない歌手時代「五木ひろし」と名付けてもらい、山口さんが作詞した「よこはま・たそがれ」を歌って大ヒット。一躍トップ歌手として認知された。

しかし、ぼくは山口洋子さんを作詞家としても、作家としても絶対認めない。なぜなら、「よこはま・たそがれ」は完全な盗作だからだ。

以下比べていただきたい。

先づ 「 よこはま・たそがれ」

1、よこはま たそがれ ホテルの小部屋

くちづけ 残り香 たばこのけむり

ブルース 口笛 女の涙

あの人は行って行ってしまった

あの人は行って行ってしまった

もう帰らない

2、略

3、木枯らし 思い出 グレーのコート

あきらめ 水色 つめたい夜明け

海鳴り 灯台 一羽のかもめ

あの人は行って行ってしまった

あの人は行って行ってしまった

もう帰らない

こちらはアディー・アンドレというハンガリーの詩人の「ひとり海辺で」という詩。三笠書房発行の「世界の名詩集12『世界恋愛集』東欧編」に載っている。山口さんが「よこはま・たそがれ」を作詞するの3年前に発行された本だ。

海辺 たそがれ ホテルの小部屋

あの人は行ってしまった、もう会うことはない

あの人は行ってしまった、もう会うことはない

(略)

あたりに漂うあの人の残り香

波の音が聞こえる、心なき海の楽しげなその歌

波の音が聞こえる、心なき海の楽しげなその歌

どうです? 似てるでしょ。「海辺」が「横浜」に変わっただけ。他にも、灯台、海鳴り、口づけ、思い出などかなりの語句が共通している。これを盗作と言わずして何を盗作というのか。

しかも、「三行めまでのプツンプツンと切れる字句の配置が非常に斬新」という理由で第4回日本作詞大賞、企画賞まで受賞というのだから、呆れるしかない。

実はこのことをぼくは当時「週刊文春」で告発した。このレコードを出したミノルフォンの役員が泣きついてきたが、構わず掲載した。作詞大賞審査員の田辺茂一さんは「受賞取り消しでもしょうがない」といい、口の悪い竹中労さんは「泥棒というか窃盗」とまで。

しかしことはうやむやに終わって、五木ひろしは大歌手になり、山口洋子さんはのちに直木賞まで受賞した。

だからぼくは山口洋子さんの小説は一作も読んでない。読む気がしない。