1 石橋貴明と鈴木保奈美が電撃離婚!

7月16日に石橋貴明さん(59)と鈴木保奈美さん(54)がユーチューブで離婚したことを発表しました。

お2人は1998年11月に結婚し、今年で結婚23年目。世間ではおしどり夫婦と思われていました。

石橋さんと保奈美さんの離婚は、いわゆる「熟年離婚」と言っていいでしょう。

人生100年時代の現代、子育て後に離婚を選択する夫婦が増えています。

厚生労働省が発表している「人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、同居期間20年以上の「熟年離婚」は、1985年は2万434件でしたが、2020年には3万8980件と35年で2倍近くになっています。

また、40代以降の離婚件数も年々増加傾向にあります。

2020年に離婚した19万組のうち、熟年離婚に該当したのは約20%でした。

これからも熟年離婚はますます増加することでしょう。

今回は、熟年離婚で起きがちな失敗やトラブルに対してどう対応すべきかについて、実際に役に立つポイントをお伝えしようと思います。

2 熟年離婚でよくある失敗やトラブル

写真:beauty_box/イメージマート

それでは、熟年離婚で起きがちな失敗やトラブルには、どのようなケースがあるのでしょうか?

よく見られるのは次のケースです。

①退職金を夫(妻)に勝手に使われてしまった!

②不動産の財産分与に失敗して住む家がなくなった!

③年金分割の知識がなく、年金を受け取れなくなってしまった!

④子供たちからそっぽを向かれ、孤独な老後を送ることになった!

では、それぞれ、実際のトラブルのケースから具体的な対応策を検討していきたいと思います。

まず、①の退職金を夫(妻)に勝手に使われてしまったケース。

写真:red/イメージマート

財産分与では、将来の退職金も分与の対象となり得ます。

退職金は、一般的に額も大きいですし、老後の資金にとっては最後の砦、なくてはならない財産だといえるでしょう。

しかしながら、妻は夫の退職金が一体いくらもらえるのか、あまり把握していません。いつもらえるのかすら教えてもらっていないケースもよくあります。

現実問題として、退職金を先に使われてしまったり、うやむやにされてしまうケースは思いのほか多いのです。

退職金については、将来の分も含めて財産分与の対象となり得ますので、いつもらえるのか、また金額はいくらかを把握することは必須となってきます。

ほとんどの場合、会社に問い合わせれば、少なくとも現在自己都合で退職した場合の退職金の額は教えてもらうことができます。

ただ、問い合わせるのは会社に勤務している配偶者(ほとんどは「夫」)なので、配偶者が問い合わせすること自体を億劫がったり、問い合わせをして回答をもらっても教えてもらえないことが多いのが実情です。

この点については、裁判所で「離婚調停」を申し立てれば、申し立てられた相手方は金額を正直に開示することが多いです。

なお、半年後に退職が迫っていて、相手が退職金をそのまま勝手に使ってしまう(もしくは隠してしまう)可能性が高いような場合には、仮差押えが可能なケースもあるので、専門家に相談することをお勧めします。

そもそも、熟年離婚の一番の懸案事項は、経済面で不安定になることです。

熟年離婚をするためには、「離婚後の生活設計」をしっかりとイメージしておくことが大切です。

離婚後、どうやって生活していくのかを具体的に数字にして、本当に生活することができるのかをシビアに計算しましょう。

離婚する際には夫婦の共有財産を原則として半分ずつに分与しますが(「2分の1ルール」と言います)、夫婦共有財産が一体いくらあるのかを前もって把握しておくことが非常に重要となってきます。

次に、②不動産の財産分与に失敗して住む家がなくなったケースをみてみましょう

写真:アフロ

夫婦で購入した不動産は、名義がどうあれ、原則として夫婦共有財産となります(一方が結婚前に購入した不動産は別途検討が必要となります)。

夫名義の不動産は夫のものだと誤解している妻は思いのほか多くいますし、夫側も「俺の名義の家だから俺のもの。おまえはこの家から出て行け!」などと一方的に妻を追いだすケースはよくあります。

夫名義の家だから夫のものだと、素直に家から出て行った場合は、その後住む家がなくなるという悲惨なことにもなりかねません。

夫の名義であっても、婚姻中に購入した不動産は夫婦共有財産として財産分与の対象となりますので、夫に言いくるめられないように注意しましょう。

熟年離婚の場合は、住宅ローンが終わっているケースもありますが、まずは不動産にどの程度の価値があるのかを査定してもらうことが大切です。簡易査定でもいいので、不動産の価値を把握しておきましょう。

次に住宅ローンが残っているのであれば、ローン額も把握しておきましょう。

その上で、離婚する際には、①売却して、売却益をそれぞれ2分の1にするのか、②売却はせずに一方が住み続け、相手に評価額からローン額を差し引いた2分の1の金額を支払うのか、話し合いをすることになります。

今まで長年住んできた家は、子供達が帰る実家でもありますので、夫婦でよく話し合い、売却するのか、一方が住み続けるのかを慎重に検討する必要があります。

では、③年金分割の知識がなく、年金を受け取れなくなってしまった!というのはどのようなケースでしょうか。

写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

熟年離婚の際には年金分割が可能な場合があります。

年金分割制度とは、離婚後に一方の配偶者が加入している厚生年金・共済年金の納付実績の一部を分割して、片方の配偶者が受け取れるようにする制度です。

つまり、一方の配偶者が厚生年金や共済年金に加入している場合には、ご自身のもらえる年金が増える可能性があるのです。

ですが、この分割請求は原則として「離婚した日の翌日から2年」という期間制限があります。離婚の際に年金分割を1/2と決めても、この期間制限を忘れる方が一定数いらっしゃいます。

経験した方ならわかると思いますが、「離婚した日の翌日から2年」というのは、本当にあっという間です。

年金分割の手続きは、絶対に忘れたりしないように注意してください。

忘れてしまった場合は、年金分割をもらえなくなりますし、基本的には救済方法もありません。

最後に、精神面についてですが、④子供たちからそっぽを向かれ、孤独な老後を送ることになった!というケースについてお話しします。

写真:アフロ

子供たちも自立して、子育ても一段落。これからは自分のためだけに人生を送りたいと思い、熟年離婚を切り出す方は大勢いらっしゃいます。

ただ、子供たちは自立したとはいえ、親の離婚には全く無関心というわけではありません。

熟年離婚を切り出す前に、それとなく子供たちの意見をリサーチしておくことをおすすめいたします。

というのも、父親がDVや不倫、モラハラで母親を苦しめ続け、母親が我慢しているのを見て育ったお子さんは、ほぼ母親の側につき、父親とは全く疎遠になってしまうことはよくあるケースだからです。子供たちが大きくなって自立している場合は尚更です。

子供と孫がしょっちゅう遊びに来て、楽しい老後を過ごすのと、音信不通になるのとでは、やはり老後の充実度も違ってきます。

家族をなおざりにしてきた方は、家族に一度真摯に向き合い、腹を割って話しをするのも一つの手かもしれません(それでもお子さんが許さない場合もありますが)

 家族の交流が見込めない場合などは、隣近所との付き合いや地域社会の行事には積極的に参加するなど、家族以外の人とのつながりを持つように意識するとよいでしょう。

孤独な老後を迎えないためにも、人とのつながりを今まで以上に大切にすることをお勧めいたします。

3 我慢する時代から我慢しない時代へ

写真:milatas/イメージマート

当事務所にも、結婚後20年以上我慢してきたけれど、もう我慢できない、熟年離婚したいのですが大丈夫でしょうか?といったご相談が増えています。

熟年離婚は女性から言い出すケースが圧倒的に多いのが特徴です。

熟年離婚のメリットとしては、なんと言っても、残りの人生を自分らしく自由に生きることができるということでしょう。

子供が自立するまでは…とやりたいことを我慢されてこられた方もいらっしゃると思います。モラハラやDVの被害にじっと耐え続けてこられた方もいるでしょう。

熟年離婚をして、相手と婚姻関係を解消すれば、自分の時間は自由に使うことができます。趣味に時間を費やしてもいいし、旅行に行くのに気がねする必要はありません。

モラハラやDVにびくびくしながら、相手の機嫌を損ねないように気を遣う必要もなくなります、相手の親の介護からも解放されますね。

新たに恋愛をして新しい伴侶をみつける方もおられますし、人生経験を積んでいる分、別れた配偶者より、いい相手を見つけられたという方もおられます。

このように、熟年離婚後には、充実した人生を謳歌していると報告してくださる依頼者の方は沢山いらっしゃいます。

冒頭にも書きましたように人生100年時代。子育てが終わり一段落したとき、「これからのパートナーは本当に今の夫(妻)でいいのか?」を考えることもあるでしょう。

弁護士として日々法律相談を受けていると、時代は「我慢する時代」から「我慢しない時代」へ変わってきたと実感しています。

いまや熟年離婚はけっして珍しいことではありません。

しかし、熟年離婚には一定のデメリットがあるのも事実です。

一度きりの人生、後悔しないように、専門家に相談するなどしてベストの判断をしていただきたいと思います。