インターネットの窓口となるパソコンも携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)も、そして家庭用ゲーム機やタブレット型端末ですら、昔と比べると価格面では随分と手に入りやすくなった。しかしそれでも、誰もが気軽に購入できるものではない。当然その所有率・利用率は個々のお財布事情と浅からぬ関係がある。これがいわゆる「デジタルデバイド」の要因として経済力が挙げられる一因。今回は総務省が2022年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を用い、世帯年収別に主要インターネットアクセス機器の利用状況を検証する。

まずは全体的な「パソコン」「携帯電話」「タブレット型端末」「家庭用ゲーム機」における、インターネット機器としての利用率。「インターネット利用の有無を問わず、該当属性全体に対する比率」で算出していることに注意。

↑ インターネット用としての機器利用率(2021年)
↑ インターネット用としての機器利用率(2021年)

例えばパソコンは48.1%なので、調査対象母集団の約5割が「パソコンをインターネット端末として利用している」と回答している。携帯電話は73.4%とパソコンを抜いており、「インターネットへのアクセス窓口は携帯電話が最上位」な状況にある。これは2013年から継続している状況で、2013年は日本のインターネット上の歴史における転換点と定義してもよいだろう。

これを回答者の所属世帯における世帯年収別で区分したのが次のグラフ。

↑ インターネット用としての機器利用率(世帯年収別)(2021年)
↑ インターネット用としての機器利用率(世帯年収別)(2021年)

概要的には「自分が所属する世帯の世帯年収が低いほど、パソコンも携帯電話もタブレット型端末も(インターネット)利用率が低い」傾向が見える。そして世帯年収が低い世帯では、インターネットの利用が(多分に)金銭的なハードルに阻まれていることが推測される。

他方、携帯電話と家庭用ゲーム機では600~800万円未満がおおよその天井のように見える。それ以上の世帯年収では利用率には大きな変化は生じていない。それより低い世帯年収の世帯に対し、どのようにすれば600~800万円未満の世帯水準にまで引き上げられるかそれが一つの課題となるだろう。

経済水準がインフラ導入のハードルのすべてとなるわけではなく、また一見するとコスト面で手に入れやすいように見える端末が、ハードルが高い場合もある。さらに今件は「世帯年収」であり、貯蓄を取り崩して生活費に充当している高齢世帯層もまた、世帯年収は低く示されることに留意する必要はある(つまり世帯の経済状態ではなく、年齢によってインターネットの利用が左右される面もありうる)。とはいえ、少なくとも相関関係において、世帯年収がインターネットを利用しているか否かに関して、連動性があることは間違いない。

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※通信利用動向調査

2021年分は2021年9月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7365世帯(4万4133人)、2396企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。