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若者の9割近くは社会課題への関心がある

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
今の若者は社会課題への関心があるのだろうか(写真:アフロ)

解決すべきと思われる社会全体の問題を社会課題と呼んでいる。社会には無関心とのイメージのある若年層は、社会課題に関心があるのだろうか。連合が2022年3月に発表した、若年層における社会運動に関する調査「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022」(※)の内容から確認する。

調査対象母集団に関心のある社会課題(解決すべきと思われる社会全体の問題)があるか否かを尋ねたところ、全体では87.0%と9割近くの人があると回答した。

↑ 関心のある社会課題があるか(属性別)(2021年)
↑ 関心のある社会課題があるか(属性別)(2021年)

男女別では多少ながらも女性の方が値は高く、年齢階層別ではより若い方が値は高い。特に15~19歳では92.2%の人が、何らかの形で関心のある社会課題があるとしている。

それでは具体的に、どのような分野の社会課題に関心があるのか。約4割の人が経済・社会の分野に関心があると回答している。

↑ 関心のある社会課題の分野(複数回答)(2021年)
↑ 関心のある社会課題の分野(複数回答)(2021年)

次いで教育と人権が同じ値、さらにジェンダー平等、労働、健康と続く。環境や平和といった、社会課題をテーマにした社会運動ではよく取り上げられる分野は、若年層ではあまり関心がないようだ。

社会課題の分野の詳細区分を確認すると(グラフ化は略)、経済・社会では医療・社会保障、教育ではいじめ、人権では自殺問題、ジェンダー平等ではジェンダーにもとづく差別、労働では長時間労働が最上位の課題として挙げられている。これら詳細区分の上位陣について、属性別で関心の度合いを確認すると次の通り。

↑ 関心のある社会課題(複数回答、上位陣、属性別)(2021年)
↑ 関心のある社会課題(複数回答、上位陣、属性別)(2021年)

長時間労働は男性の方が値は高いが、いじめや自殺問題、ジェンダーにもとづく差別、医療・社会保障は女性の方が値は高い。特にジェンダーにもとづく差別は男女で2倍以上の差がついており、男女におけるジェンダー関連への関心度合いの差が非常に大きい実情が見て取れる。

年齢階層別では、例えばいじめは若い人ほど高い関心を寄せているが、長時間労働は年上になるに連れて関心度合いが強くなる。自分にとって身近な、自分自身も直接関係してくるであろう問題ほど、関心度合いが強くなるようだ。その観点では、自殺問題やジェンダーにもとづく差別は年が上になるに連れて関心が薄れ、医療・社会保障は関心が強まるようである。

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※Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022

2021年12月21日から23日にかけて15~29歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1500人。男女・5歳区切りの年齢区分で均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。Z世代とは本来1990年代後半から2000年代に生まれた世代と定義されているが、今調査では社会人も含めた若年層の15~29歳をZ世代としている。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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