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子供の習い事や家庭学習、教室学習などの学校外教育費はいくらぐらいなのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
学校での勉強だけでは足りないと判断し、家庭教師を頼むこともあるだろう(写真:イメージマート)

子供の多くは学校での学習だけでなく、ピアノやダンス、水泳のような習い事、オンラインや家庭教師による家庭学習、専用の教室で複数人数が集まって学校の授業のように学習をする教室学習に取り組んでいる。これら学校外教育に関して、どれほどの費用がかかっているのだろうか。ソニー生命保険が2022年3月に発表した調査結果「子供の教育資金に関する調査2022」(※)から、その実情を確認する。

次に示すのは学校以外での教育費、つまり学校外教育費の平均支出金額。1か月あたりの金額の平均となっている。

↑ 学校以外での教育費の平均支出金額(子供1人あたり・月額、円)
↑ 学校以外での教育費の平均支出金額(子供1人あたり・月額、円)

最古の調査年となる2016年での1万240円から少しずつ増加を示したものの、2019~2020年でほぼ頭打ち、そして2021年では大きく落ちる形となった。新型コロナウイルスの流行で景況感が後退し、学校外教育費に対してですら、財布のひもがきつくなったのかもしれない。それでも直近では前年比でプラス、1万4429円を示しており、その新型コロナウイルスの流行という社会環境に慣れた、少なくとも景況感の判断の上では多少ながらも改善しているとの認識が高まった結果なのだろう。

これを子供の就学段階別に見たのが次のグラフ。

↑ 学校以外での教育費の平均支出金額(子供1人あたり・月額、子供の就学段階別、円)
↑ 学校以外での教育費の平均支出金額(子供1人あたり・月額、子供の就学段階別、円)

折れ線同士がクロスすることはないため、金額的には未就学児が一番低く、次いで大学生など、小学生、そして中高生が一番高い値となる。上下度合いはどの就学段階も同じような動き方で、2019年の大学生などの減少ぶりが少々イレギュラーに見える程度。2021年では中高生は微減で済んでいるが、それ以外の就学段階では大きな減少を示しており、新型コロナウイルスの流行は多くの子供たちの学校以外での教育機会を損なった可能性がある。もっともこれは見方が逆で、新型コロナウイルスの流行で学校以外での教育機会が損なわれ(外出自粛などでの休業)、結果として支出金額が減ってしまったのかもしれない。

直近の2022年では全就学段階で前年から増加している。これも全体動向同様、前年と比べれば新型コロナウイルスの流行という社会環境に慣れた、少なくとも景況感の判断の上では多少ながらも改善しているとの認識が高まった結果なのだろう。特に大学生などの増加幅が大きく、3000円近くも積み増しされている。コストが大きくなることが多い、デジタル系の教育に使われたからだろうか、大いに注目すべき動きではある。

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※子供の教育資金に関する調査2022

2022年1月28日から31日にかけて、大学生以下の子供がいる20歳以上の男女を対象に、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。保護者の男女別、子供の男女別、子供の通う学校(未就学、小学校、中学校・高校、大学・短期大学・専門学校・予備校)別でそれぞれほぼ均等割り付け。調査協力会社はネットエイジア。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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