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46.6%が経験あり…交通運輸・観光サービス業における客からの迷惑行為被害実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
交通運輸・観光サービス業における客からの迷惑行為被害の実情は(提供:イメージマート)

交通運輸・観光サービス業で働く人に対する利用者の迷惑行為、いわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)が問題視されている。どれほどの従業員が迷惑行為による被害を受けているのだろうか。全日本交通運輸産業労働組合協議会が2021年11月に発表した、交通運輸・観光サービス業における利用者の迷惑行為に関する調査(※)の結果から確認する。

最初に示すのは、直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあったことがある人の割合と、あった場合の回数。調査対象母集団では、無かった人は53.4%にとどまっている。つまり46.6%は何らかの形で迷惑行為の被害にあっている。

↑ 直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあったことがあるか(2021年)
↑ 直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあったことがあるか(2021年)

被害にあった回数としては、1~5回の人がもっとも多く36.1%だが、それ以上の人も10.6%おり、16回以上も受けている人も3.1%に達している。あくまでも被害を受けた側の自己認識によるカウントだが、2年間で16回以上も被害を受けている人が3.1%もいる実情には、驚かざるを得ない。

業種別で被害のある無しを確認したのが次のグラフ。

↑ 直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあったことがある(業種別)(2021年)
↑ 直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあったことがある(業種別)(2021年)

もっとも多いのはタクシーで58.0%、次いでバスの54.4%、鉄道の52.4%。この3業種は過半数の人が利用者などからの迷惑行為の被害にあったとしている。業界団体からの発表や事件報道などを思い返すに、これらの業種での利用者による迷惑行為の多さは容易に想像ができるが、それが数字となって表れた形となる。一方でトラックでも26.3%、海運・港湾ですら15.1%の人が被害経験ありとの回答。

回答値の中央値を基に、迷惑行為の被害の概算平均を算出したのが次のグラフ。

↑ 直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあった回数(概算平均、業種別)(2021年)
↑ 直近2年以内に利用者などからの迷惑行為の被害にあった回数(概算平均、業種別)(2021年)

回数ではバスがもっとも多く2.79回、次いで鉄道の2.67回、タクシーの2.51回。調査対象母集団全体でも2.32回との結果が出ている。

公共交通機関などを利用する際に、自分はお客様だからと態度が大きくなり、従業員に横柄な態度を取ってしまう人がいる。利用中に何かトラブルが生じたり、気に食わないことがあったりすると、従業員に八つ当たりをしてしまうケースもあるだろう。しかし従業員とて人間に他ならない。大人げない行為は慎んでほしいものである。

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※交通運輸・観光サービス業における利用者の迷惑行為に関する調査

2021年5月20日から8月31日にかけて、交通運輸・観光サービス業に従事している全日本交通運輸産業労働組合の所属組合員に対し、書面あるいはインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2万908件。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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