「防衛・安全保障」を強く望む層とは

昨今の日本周辺事態の情勢変化を受け、これまで以上に注目を集めているのが「防衛・安全保障への対策」。国民にはどこまで望まれているのか。その実情を内閣府が2022年1月に発表した、定点観測的に調査を行っている「国民生活に関する世論調査」(※)の内容から確認する。

最初に示すのは直近年分の政府への要望の一覧。提示された選択肢の中で「防衛・安全保障」は39.4%の人が要望している。順位としては5番目。上位には「医療・年金などの社会保障の整備」「新型コロナウイルス感染症への対応」「景気対策」高齢社会対策」が並ぶ。

↑ 政府に対する要望(2021年)
↑ 政府に対する要望(2021年)

意外に思う人もいるかもしれないし、当然、むしろまだこれでも低いと感じる人もいるだろう。

この「防衛・安全保障」を求める声の大きさをいくつかの属性別で見たのが次のグラフ。回答者の居住地都市規模別や男女別・年齢階層別に区分したもの。

↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、都市規模別)(2021年)
↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、都市規模別)(2021年)

↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、男女別・年齢階層別)(2021年)
↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、男女別・年齢階層別)(2021年)

都市規模別では東京都区部でいくぶん低い値が出ているが、それ以外ではほぼ同じで傾向だった動きは見られない。有事の際に被害を受けやすいか否かの観点では、都市部の方が高い値を示すような気がするのだが。

男女別では男性の方が高いが、年齢階層別ではおおよそ年齢が上になるに連れて値が高くなる傾向がある。年齢が上の人ほど、防衛や安全保障に関する政府への要望意識が強いようだ。

属性別動向としては「男性」「高齢層」に高めの傾向が出ていると表現できるだろう。

昔と今とではどのような意識の違いがあるのか

それでは過去ではいかなる思いが寄せられていたのか。1998年以降の全体値の変動を示したのが次のグラフ。よい機会でもあるので、政府が担う施策として類似の項目である「外交・国際協力」を併記してグラフを作成する。

↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、外交・国際協力)
↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、外交・国際協力)

2006年の値が双方とも突出しているが、これは調査直前の2006年8月に北方領土近辺で、根室市のカニかご漁船第31吉進丸がロシア警備艇に銃撃の上拿捕され、漁船の乗組員1名が射殺、3名が拘束された(第31吉進丸事件)のを受けての動き。それをのぞけば多少のぶれはあるものの、防衛・安全保障と外交・国際協力ともに年々上昇しており、対外施策の重要性を認識しているようすがうかがえる。

直近の2021年では値が大きく跳ねているが、2021年分では新型コロナウイルス感染症への対策のため、過去の調査と比べると調査方法や設問様式に違いがあることから、イレギュラーが出ているのかもしれない(今設問においては選択肢の観点では過去と変わらず、調査方式に違いがあるのみ)。あるいは主に中国の強硬な軍事的圧力の実情報道が影響しているのかもしれないが。

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※国民生活に関する世論調査

直近分は2021年9月16日から10月24日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を持つ人の中から層化2段階無作為抽出法で3000人を選んだ上で、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1895人。男女比は906対989、年齢階層別構成比は18~19歳が32人・20代171人・30代209人・40代306人・50代333人・60代312人・70歳以上532人。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。