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情報源として欠かせないのはどのメディアか…主要メディアに対する思いの実情(2021年度版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
驚きの情報が掲載されている新聞。でもそれは信頼できるものだろうか?(写真:Paylessimages/イメージマート)

情報源として欠かせない存在、トップはインターネット

メディアは主に情報を取得するために存在し、利用される。情報はメディアの立場からは、商店における商品そのものと表現できる。その情報を日々得る人にとってメディアは欠かせない存在であり、同時に情報の内容に関し、メディアは利用者からさまざまな要求が行われる。今回は新聞通信調査会が2021年11月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の報告書を基に、主要メディアとなる新聞、テレビ、インターネットに対して、人々が情報源としてどの程度の必要性を感じているのか、そして提供される情報に信頼を寄せているのかを確認する。

主要メディアに対し「情報源として欠かせない存在か否か」「情報が信頼できるか否か」を尋ね、肯定した人をカウントした結果が次以降のグラフ。まず「情報源として欠かせない」とするメディアとしては、インターネットがもっとも多くの同意を得られており、52.7%。次いで民放テレビが48.7%、NHKテレビが42.7%。最後に新聞が37.7%との結果となった。

↑ 各メディアの印象「情報源として欠かせない」(属性別)(2021年度)
↑ 各メディアの印象「情報源として欠かせない」(属性別)(2021年度)

新聞やテレビと比べてインターネットはインフラとしての言葉の意味合いが強く、情報発信メディアとしての区分で同列視するのは問題があるが、世間一般の人のイメージとしての回答では、おおよそこのぐらいなら妥当性がある値といえる。新聞は「情報源としての必要性」の観点で、今回取り上げている主要メディアにおいては、一番低い支持率としての存在になってしまっている。

男女別では、男女ともにインターネットや民放テレビが高めに出ているが、男性ではインターネットが群を抜いて高いのに対し、女性ではインターネットよりも民放テレビの方が高い値を示しているといった違いが出ている。女性の観点では情報源として必要不可欠か否かの観点で、民放テレビは新聞やNHKテレビ、そしてインターネットよりも欠かせない存在であると認識されていることになる。昼時のバラエティ番組の視聴が影響しているのだろう。

年齢階層別に見ると、50代まではインターネットが一番で、次いで民放テレビ。40代まではインターネットが突き抜けた値を示している(50代もやや突出と読むべきか)。60代になると民放テレビが順位を上げてトップにつき、NHKテレビが続く。インターネットはいきなり値を大きく落とし、最下位に落ちてしまう。70歳以上では新聞の値が60代よりも増え、NHKテレビに肩を並べるほどになる。インターネットは15.8%でしかない。

今件で挙げられたメディアでは、50代と60代が「情報源としての必要性」における境界線となるようだ。高齢層が新聞やテレビに夢中になるのは、情報源として欠かせない存在との認識が強いのが、理由の一つであることが分かる。

信頼できる情報を提供する存在はNHKテレビと新聞

情報源としての必要性ではなく、発信される情報の確からしさ、信頼性の点では、NHKテレビと新聞に置かれた信頼性の高さが際立つ形となっている。

↑ 各メディアの印象「情報が信頼できる」(属性別)(2021年度)
↑ 各メディアの印象「情報が信頼できる」(属性別)(2021年度)

1つ目のグラフと、メディア毎の棒グラフの色を一致させているのだが、印象が大きく異なっている。こちらのグラフでは青色と赤色が大きく伸び、緑色と紫色が短め。またほとんどの属性で赤色の方が青色よりも長い。これはそれぞれ「新聞とNHKテレビが提供情報の観点では大いに信頼されている」「民放テレビとインターネットはあまり情報の信頼性はないとの認識がされている」「新聞とNHKテレビとではNHKテレビの方がより高い信頼を得ている」と見ることができる。

男女別では新聞・NHKテレビは女性の方が、インターネットでは男性の方が高い値を示している。年齢階層別ではおおよそ若年層ほどインターネットへ信頼を置いているものの、それほど高いものではなく、新聞とNHKテレビは大体年齢が上になるに連れて信頼する人の割合も増加していく。他方民放テレビは年齢階層による差異はあまり見られず、一定値を保っているのも興味深い動向ではある。そして18~19歳においては、NHKテレビと民放テレビの値がほぼ同じ、むしろわずかだが新聞の方がNHKテレビよりも上となっているのも注目に値すべきところだろう。

今件の2つの視点だけでも、年齢階層間のメディアギャップ、そして高齢層における新聞とNHKテレビへの信奉ぶりが手に取るように分かる。今後デジタルに慣れ親しんだ世代が歳を重ねるにつれ、これらの傾向にどのような変化が生じて来るのか。大いに注目したいところではある。

■関連記事:

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【NHKテレビが一番、新聞二番…メディアへの信頼度をさぐる】

※メディアに関する世論調査

直近分となる第14回は2021年8月27日から9月14日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3047人。有効回答者の属性は男性1460人・女性1587人、18~19歳63人・20代237人・30代377人・40代519人・50代512人・60代531人・70代以上808人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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