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結婚経験無しの男性高齢者、日本は7.7%・米国は7.8%…日本も含めた諸外国の高齢者の結婚状況

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
年をとっても仲むつまじいカップル(写真:アフロ)

現在高齢者の立場にある人は、結婚相手とどのような関係にあるのか、あるいは結婚未経験状態なのだろうか。日本だけでなく諸外国の実情も含めて、内閣府が2021年6月に発表した「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(※)の最新版から確認する。

まずはストレートに、調査対象国における男女別の、質問時の結婚の状態。相方(配偶者やパートナー)と同居状態にあるか、健康や介護の事情で別居状態にあるか、仲違いなどの理由で別居したり離婚しているか、相方はすでに亡くなっているか、そして結婚経験がまだ無い人か、おおよそこれらの状況のいずれかであることから、現状について択一回答で答えてもらっている。

↑ 結婚の状況(60歳以上、国別・男女別)(2020年)
↑ 結婚の状況(60歳以上、国別・男女別)(2020年)

注意しなければならないのは、今調査は当然回答者が生存しているのが前提で、しかも老人ホームなどに入居していない人であるため、健康寿命が長い女性の方が男性よりも高齢者率が高いこと。元々男女比率は成人以降では女性の方が多いのだが、年を取るに連れ差は開いていく。

従って、どの国でも男性より女性の方が「相方は死去」の回答率が高い。他方、「別居・離婚」の率も男性より女性の方が高い値を示しているが、男性の定年退職とともに女性側から離婚をする「定年離婚」的なケースが、どの国でも一定率存在するということだろうか。あるいはセカンドライフにおいては、互いに縛られない自由な生活を過ごしたいとの思惑もあるのかもしれない。

国別では男女ともに日本の同居率の高さが目にとまる。男性に限れば8割近くが相方と同居している。他国とは大きな違いではある。日本の平均寿命が長いことと合わせ考えると、国による高齢層におけるライフスタイルの違いが透けて見えてくる。日本の高齢男性は相方の女性に頼りがちとの話もあるが、数字の上ではそれは確かなようだ。

日本において男女合わせた値ではあるが、年齢階層別に見ると次の通りとなる。

↑ 結婚の状況(日本、60歳以上、年齢階層別)(2020年)
↑ 結婚の状況(日本、60歳以上、年齢階層別)(2020年)

当たり前の話ではあるが、回答者は生存している以上、相方が亡くなっている可能性は回答者の年齢が上になるに連れて増加する。60代前半では6.7%のみだった「相方は死去」も80歳以上では4割強となる。見方を変えれば、子供や孫、サポーターがいない限り、この半数以上の人は一人暮らしをしていることになる。

余談ではあるが、国別・年齢階層別に見た、「結婚経験無し」の人の割合。現在結婚状態になく、離婚した人ではないことに注意。

↑ 結婚の状況(60歳以上、「結婚経験無し」の割合、国別・年齢階層別)(2020年)
↑ 結婚の状況(60歳以上、「結婚経験無し」の割合、国別・年齢階層別)(2020年)

中には異性と同居・同棲などの経験がある人もいることが予想されるが、結婚状態になった経験が無く60歳以上の人は、これだけ存在することになる。60代前半でもドイツでは1割を超え、日本でも8.2%確認できる。年を取るに連れて回答率が低下するのは、今は昔と比べて結婚にこだわる人が減っているからなのか、結婚経験が無く同居人がいない可能性が高い人は死亡リスクが高く、回答に加わることができなくなるのか、今件調査結果からのみでは推測すら難しい。

少なくとも現状で分かるのは、より年上の人ほど、結婚未経験の人の割合は少ない事実のみである。

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※高齢者の生活と意識に関する国際比較調査

5年毎に行われている調査で、最新分は2020年12月から2021年1月にかけて日本、アメリカ合衆国、ドイツ、スウェーデンにおいて、60歳以上の男女(老人ホームなどの施設入所者は除く)に対して調査員による個別面接聴取方式や郵送調査法、電話調査法、訪問依頼・電話聴取法によって行われたもので、有効回答数は各国とも1000件強。それぞれ男女別・年齢階層別・地域・都市規模などを元にウェイトバックが行われている。過去の調査もほぼ同様の様式で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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