最近は電子書籍などでも読める機会を得られるようになったため、心配は不要との意見もあるが、日常生活において本に触れる機会がないと、情操教育の観点では好ましくないとの意見がある。一方で世帯内には本棚の類が無く、本を自宅に備えていつでも読める環境を作るという考え方が無い、つまり本は普段の生活の上では必要ないと考えている人がいるのも事実。今回は文部科学省が2021年8月に発表した全国学力・学習状況調査(※)の結果を基に、小中学生の世帯における本事情を確認する。

次に示すのは回答した小中学生それぞれの自世帯における、本の所有状況。一般雑誌や新聞、教科書などを除き、いわゆる書籍の類はどれほどあるのかを聞いた結果。質問票では本棚の絵を例に挙げ、この冊数なら本棚にはこれぐらいの並びになると説明している。このことから、基本的には電子書籍の類は該当しないとみてよい。また、回答者自身の所有する書籍でなくともよい。

↑ 自分の家にはどのぐらいの本があるか(学校種類別)(2021年度)
↑ 自分の家にはどのぐらいの本があるか(学校種類別)(2021年度)

100冊を超える本がある小学生は36.5%、中学生は34.2%。もちろんそれらの本すべてを回答者自身が読み通しているわけではなく、さらには手を触れてはいけないと禁じられている可能性もある。それでも相当数の本があり、恐らくは少なくとも1つ以上の本棚が自世帯にあるものと考えられる。

他方、本が10冊ぐらいまでしかない世帯は小学生で11.0%、中学生で14.4%。設問の設定上仕方がないが、1冊もないという世帯がこのうち相当数あるのだろう。10冊程度でわざわざ本棚を用意することは考えにくく、また本棚があるのに10冊も本が入っていないのもおかしな状態なので、恐らくはこの割合はそのまま「本棚が無い世帯」と見てよい。

もちろん設問には「教科書などを除き」とあるので、回答者自身の教科書や参考書を収める類の本棚はあるものと思われるが、一般の書籍などがほとんど無く、それを入れるための本棚も無い可能性は高い。世帯での事情や教育方針などもあるのだろうが、考えさせられる数字ではある。

ちなみに回答値を基に概算した、平均的な冊数は次の通り。

↑ 自分の家にはどのぐらいの本があるか(概算平均、学校種類別、冊)
↑ 自分の家にはどのぐらいの本があるか(概算平均、学校種類別、冊)

小学生の世帯は139冊、中学生の世帯は132冊。実質的にほぼ同じと見てよいだろう。小中学生の世帯には130冊ぐらいの本があると覚えればよい。

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※全国学力・学習状況調査

2021年5月27日、国公立および私立の小中学校に対し悉皆調査方式(標本調査ではなく全体を調べる)で行われたもので、実施学校数は小学校が1万9280校、中学校が1万0316校。教科調査(学力テスト)は国語と算数(数学)が実施されている。なお2020年度は新型コロナウイルス流行により調査実施そのものが見送られている。

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