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テレビ離れの実態をリアルタイムでテレビを観ている人の割合の変化から検証

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
テレビは映像を観るタイプの娯楽の主役ではあるのだが(写真:Paylessimages/イメージマート)

インターネットの普及によって映像を観るタイプの娯楽の選択肢は増えた。それではかつてその娯楽の主役だった、テレビ番組をリアルタイムで観る人の割合は減っているのだろうか。実情を総務省情報通信政策研究所が2021年8月に発表した「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)などの調査結果を基に確認する。

次に示すのは直近の2020年分も含めた、「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」において公開され取得が可能な、都合9年分における、テレビ番組をリアルタイムで観た(「テレビ(生)」)人の行為者率(該当期日…今件調査は平日2日分と休日1日分で実施している…のうち、連続して10分以上その行為をした人の割合)。用いた機種はテレビ受像機がメインだが、他にスマートフォンやパソコンによるワンセグなども該当する。また録画した番組の再生や、ダウンロードしたもの、さらには他媒体で調達したものの再生はカウントしていない。あくまでも放送時にリアルタイムで視聴した人のみ。

なお休日分のデータは2013年から調査が開始されているため、現時点では都合8年分の動向となる。

↑ テレビ(リアルタイム)行為者率(平日、属性別)
↑ テレビ(リアルタイム)行為者率(平日、属性別)

↑ テレビ(リアルタイム)行為者率(休日、属性別)
↑ テレビ(リアルタイム)行為者率(休日、属性別)

ここ数年でインターネットにかかわる機器の技術進歩や普及の度合いは爆発的と表現してもよいほどに歩みを速めており、動画視聴の面では若年層を中心に、映像文化の認識、価値観を大きく変えつつある。今調査の経年変化の限りでは、まだ9年(休日は8年)分でしかないが、テレビのリアルタイムの観賞について、時間、注力が奪われ、減少しているようすは、若年層から中年層に限り、男女ともに平日・休日を問わずに多少ながらも確認できる。

無論、今件はあくまでもテレビ(リアルタイム)の行為者率が減少している現象が確認できたのみで、それがインターネットによる動画視聴にシフトしているからだと直接説明できるわけではないが。

これまでテレビのリアルタイム視聴に充てていた時間がどこにシフトしたかは今調査の結果からは確認ができない。しかし(グラフ化は略するものの)テレビによる録画番組の再生視聴の行為者率・行為者平均時間に大きな経年での変化が無いことから、インターネットによる動画視聴に移ったと見た方が自然ではあろう。

■関連記事:

【テレビやインターネット、新聞はいつ使われているのか、時間帯別の利用状況をさぐる(2019年公開版)】

【テレビを観ながらネットをする「ながら視聴」割合をグラフ化してみる(2013年)】

※令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2021年1月12日から1月18日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」と但し書きを入れている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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