インターネットの登場でメディアのパワーバランスは大きな変化を迎えたが、それでも利用ハードルの低さや影響力、いわゆるメディア力の観点で、今なおテレビ放送が最大の影響力を有していることに違いはない。今回は総務省が2021年8月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、テレビ放送を受信し閲覧する主なツールとなる、テレビ受像機の浸透状況を確認する。

次に示すのはテレビ受像機の所有状況。自宅にあるか無いかを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか、無い場合には自宅に欲しいか、いらないかを答えてもらっている。単純にあるか無いかの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、細かいテレビ受像機の需要を精査できる。なお今件はあくまでもテレビ受像機に限定されており、パソコンや携帯電話のワンセグ機能などは該当しない。

まずは自宅にある人の状況。

↑ テレビ受像機所有状況(自宅、属性別)(2020年)
↑ テレビ受像機所有状況(自宅、属性別)(2020年)

回答者が世帯主とは限らないため、世帯主を対象とする他の調査とはいくぶん異なる動きを示しているが、おおよそどの回答者も自宅にテレビはあると答えている。またテレビはあるが観ていない人はごく少数。

属性別の違いを見ると、ほぼ誤差の範囲の動きしかないが、かろうじて低世帯年収では所有率が低いような動きが確認できる。また20~30代の成人若年層はいくぶん低いようだ。

逆にテレビが自宅に無い人はどのような心境を抱いているのだろうか。普通のテレビ関連の調査では得難い状況の確認ができる。

↑ テレビ受像機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2020年)
↑ テレビ受像機所有状況(自宅、「無い」、属性別)(2020年)

テレビ受像機所有率が一番低いのは、属性別では世帯年収800~1000万円未満の人。次いで世帯年収200万円未満の人。後者は全員がテレビ受像機そのものを必要としていない。また10~30代も非所有率が高いが、大部分は必要ないとの認識。非所有者において、欲しいとの意見が欲しくないを上回っているのは各属性の区切りでは皆無となっている。現時点でテレビ受像機を持っていない人の多くは、受像機そのものを必要としていないのであり、欲しいが何らかの理由で手に入らないわけではないことが分かる。

とはいえ、属性別で最大の非所有率ですら3.3%。テレビ受像器が最大のマスメディアツールであることに違いはなさそうだ。

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※令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2021年1月12日から1月18日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」と但し書きを入れている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。