一人暮らしをしている若年層はお財布事情が厳しいとの指摘がある。その実情を総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から確認する。

最初に示すのは、単身世帯のうち勤労者世帯の年収推移。この年収とは実収入を意味する。よく見聞きする「所得」は、ここから直接税や社会保険料などを差し引いた手取り収入を指す。

なお全国家計構造調査では単身者は15歳以上を対象としており、また学生単身者は調査対象外となっていることに注意が必要。今件対象者は16~29歳の一人暮らしで職に就いている人となる。

↑ 単身勤労者世帯の年収(29歳以下、男女別、万円)
↑ 単身勤労者世帯の年収(29歳以下、男女別、万円)

男女ともに前世紀末にかけて少しずつ上昇し、今世紀に入ってからは女性が横ばい、男性は減少。直近年となる2019年では男性が少しばかり上昇、女性は大きな上昇を示している。直近年では男性が365万4000円、女性は325万8000円。

続いて貯蓄の動向。これは男女別に確認を行う。なお「その他」は生命保険などが該当する。

↑ 単身勤労者世帯の貯蓄(29歳以下、男性、万円)
↑ 単身勤労者世帯の貯蓄(29歳以下、男性、万円)

↑ 単身勤労者世帯の貯蓄(29歳以下、女性、万円)
↑ 単身勤労者世帯の貯蓄(29歳以下、女性、万円)

女性はややばらつきがあるが1994年以降はおおよそ横ばい。男性はおおよそ増加傾向にある。ただし男性では直近で前回年から大きく減少した流れを見ると、2004年以降は上下に触れながらも横ばいと解釈した方がよいかもしれない。男性では1984年と比べて35年後の2019年では貯蓄額が1.6倍ぐらいに増加している。

リーマンショック直後で景況感が非常に悪かった2009年において、男性は貯蓄を減らしているのに対し、女性は逆に増やしている。経済的危機が生じた時における、男女間の貯蓄性向の違いが見えているのは興味深い。

日本の金利は前世紀末に大きな低下を示し、今世紀に入ってからはほぼゼロに近い状態が続いている(グラフは省略)。一部でイレギュラーが生じているが、男女ともおおよそ定期性預貯金の金額を減らし、通貨性預貯金を増やす動きを示している。若年層の単身勤労者もまた、定期性預貯金の意義を見出しにくくなっているのだろう。男性では全貯蓄に占める定期性預貯金の割合が1984年時点では42%だったのに対し、2019年では16%にまで減少している。女性ではまだ定期性預貯金への傾注が高めだが、それでも60%から35%にまで減っているのが実情ではある。

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※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

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