なかなか他人の実情は分からない、お財布事情。負債まで合わせて考えた二人以上世帯(原則的に夫婦世帯)の実情を、総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から確認する。

二人以上世帯の場合、年収は世帯主年齢とともに上昇し、60代がピークとなる。70歳以上では定年退職後に貯蓄の取り崩しが行われるため、60代と比べると減少する。

↑ 貯蓄額と年収(二人以上世帯、年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 貯蓄額と年収(二人以上世帯、年齢階層別、万円)(2019年)

一方、今調査では同年齢階層における負債額、そしてその負債のうち「住宅・土地のための負債(不動産関連負債)」も聞き取りが行われ、データが公開されている。そこでまずはこの動向を確認する。やはり住宅ローンを抱えることが多い30代から40代で飛び跳ねる値が出ている。

↑ 負債内訳(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 負債内訳(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2019年)

青色、つまり不動産関連の負債が大部分を占めている。この値は二人以上世帯全体の平均値であり、不動産を購入していない人(あるいは元々住宅保有者、ローン完済の人)は丸々この負債の分が無いことに留意する必要がある。

世帯主年齢が29歳以下でも住宅を購入する世帯はあるが少数派。やはり30代から40代で購入し、50代のうちに半ばが完済しているようだ。

次に貯蓄額から負債額を引き、純貯蓄額を算出する。繰り返しになるが、負債の多くは住宅ローンであり、これを他の「通常の負債」と一括して考えて貯蓄と相殺するのはやや難がある。住宅はそのまま換金はできず流動性も低いが、世帯の資産となるからだ。あくまでも参考値程度のものとして見てほしい。さらに住宅・土地のための負債保有率(≒住宅ローン支払い中の世帯率)も重ね、住宅ローンとの関連も精査できるようにする。

↑ 純貯蓄額と住宅・土地のための負債保有率(現在貯蓄額-負債、二人以上世帯、世帯主年齢階層別)(2019年)
↑ 純貯蓄額と住宅・土地のための負債保有率(現在貯蓄額-負債、二人以上世帯、世帯主年齢階層別)(2019年)

住宅ローンの負担は大きく、40代までは実質マイナス。30代で純貯蓄額は大きなマイナス値を示すが、同時に住宅・土地のための負債保有率も29歳以下と比べて30%ポイント近く跳ね上がっている。30代で多くの二人以上世帯が住宅を取得し、そのローンによる負担を抱える状況となったことが分かる。恐らくは子供が生まれ、あるいはそれに備えての取得だろう。

40代でも実質的な貯蓄額はマイナス。50代になってようやく首が回るようになる。繰り返しになるがあくまでも参考値であるものの、金銭的なプレッシャーの観点では「住宅ローンを(あらかた)返し終えた50代で、ようやく気軽さが見えてくる」といった実情が理解できる次第ではある。

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※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。