なかなか他人の実情は分からない、年収や貯蓄高。二人以上世帯(原則的に夫婦世帯)の実情を、総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から確認する。

次に確認するのは、二人以上世帯における世帯主の年齢階層別の年収と貯蓄。貯蓄は貯蓄ゼロの世帯も含めた平均。さらにこの二つの値を基に、平均貯蓄年収比(年収何年分の貯蓄ができているか)も算出する。

↑ 貯蓄額と年収(二人以上世帯、年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 貯蓄額と年収(二人以上世帯、年齢階層別、万円)(2019年)

年収は世帯主年齢とともに増加し、50代がピークとなる。60代に入ると早期定年退職組も含めて定年退職することもあり、また再就職を果たしても収入は以前よりも減るため、年収は減少。70歳以上は年金やその他の収入で、実額の世帯収入は世帯主年齢が29歳以下とほぼ同じとなる。

貯蓄額が年収を超えるのは、世帯主の年齢が40代に入ってから。50代に入ると貯蓄額は大きな伸びを見せる。これは一つに「住宅ローンの支払いで貯蓄がしにくい」、もう一つは「50代以降は退職金で収入が大きく上乗せされる」のが要因。もっとも高齢の世帯主がいる世帯においては、年収が若年世帯と比べると減少しているのも貯蓄年収比が大きく跳ね上がる一因となっているのは否めない。

また単身世帯と比べると、年収は単身世帯の方が少ないのも一因だが、貯蓄年収比が低めなのが見て取れる。

↑ (参考)貯蓄額と年収(単身世帯、男性、年齢階層別、万円)(2019年)
↑ (参考)貯蓄額と年収(単身世帯、男性、年齢階層別、万円)(2019年)

今回の2019年分以外に、1984年以降5年おきの「全国消費実態調査」における調査結果も取得可能な状態にある。そこで世帯主の年齢階層別に貯蓄年収比を計算し、その推移をグラフにまとめたのが次の図。

↑ 貯蓄年収比(二人以上世帯、年齢階層別)
↑ 貯蓄年収比(二人以上世帯、年齢階層別)

年間収入は1999年以降額面上は漸減しているものの、その減少率よりも貯蓄額減少率が低いため、結果的に貯蓄年収比は横ばい、あるいはやや増加とのトレンドが最近の動向。しかしよく見ると、

・40代までは横ばい、あるいは漸減

・50代以降は漸増(一部横ばい)

・1984年から1989年にかけては大きな伸び、特に60代以上は著しい増加

のような動きが確認できる。上二つは世代間の収入格差と若年層までにおける住宅取得の積極化(持家は貯蓄にはならない)、そして最後の一つはバブル時代における収入(特に退職金)の増加が要因ではある。

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※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

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