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30歳未満は52.8%がスーパーで…単身世帯の過去25年間にわたる食料買い入れ先の変化

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スーパーならお手軽に食材も揃う。(写真:アフロ)

自分のためだけの品定めとなる単身世帯の買い物。どのような場所を選んでいるのだろうか。日々買物をする人も多いであろう食料にかかわる部分について、前世紀からの変遷を、総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から検証する。

次以降に示すのは単身世帯における消費支出(税金や社会保険料をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)のうち、消費先が調査票上で明記されている、食料に該当する項目の金額に関するルート別金額シェア。食料に該当するのは料理のための材料やお弁当などの出来合い品、お酒、調味料、さらには学校給食、外食費全般も含まれる。

なお年齢階層別の区分だが、本来は30歳未満・30~59歳・60歳以上の3区分で検証するべきなのだが、2019年分について30~59歳の区分が非公開となっているため、経年推移の検証が可能な30歳未満と60歳以上のみに絞って検証する。

まずは30歳未満。

↑ 費目別支出金額の購入先別割合(単身世帯、30歳未満、食料、「その他」をのぞいて再計算)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合(単身世帯、30歳未満、食料、「その他」をのぞいて再計算)

若年層はコンビニを多用するイメージがあるが、時代の流れにおいてもあまり変化が見られない。それどころか食料に限れば、1999年以降漸減している。定価販売を嫌ってのものと見てよいだろう。昨今ではコンビニは惣菜関連に注力している動きもあるが、少なくとも単身若年層世帯には効果は無いようだ。

同時に一般小売店も減少しているが(直近2019年ではいくぶん持ち直している)、これは「店舗減」「お値打ち商品が少なめ」が原因だと思われる。例えば昔ながらのお豆腐屋さん、八百屋さん、お肉屋さんなどがどれだけ自分の行動領域内に残っているか、改めて思い返してみれば、理解はできるはず。

代わって増えてきたのがスーパー。このことから、若年層の食生活は、「少しでも安いものを調達しよう」という意向が強まりを見せていると考えてよい。またスーパーの品ぞろえが豊富なものとなり、利便性が高まったのも要因に挙げられよう。

続いて60歳以上。これはもっとも「それらしい」形を見せている。

↑ 費目別支出金額の購入先別割合(単身世帯、60歳以上、食料、「その他」をのぞいて再計算)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合(単身世帯、60歳以上、食料、「その他」をのぞいて再計算)

かつては(近所の)一般小売店を多用していたが、大型スーパーの進出や地域小売店の閉店、価格の問題などで利用性向が逆転。直近では6割強をスーパーに頼っている食生活を送っている。コンビニはわずかに5.4%。漸次増加しつつあるが、まだ1割にも届いていない。また、デパ地下の活用もしているが、利用度合いに変化はあまり見られない。むしろ他の年齢階層では誤差範囲だったネット以外の一般通販の利用がそこそこ確認できるのが興味深い。

概要を世代別にまとめると、単身世帯の消費「食」生活上の「食料(品)」買物先としては次の通り。

●30歳未満

・一般小売店とスーパーで6割強。スーパーの利用は増加の一途で単独で過半数。

・コンビニ利用率は減少傾向。

●60歳以上

・一般小売店とスーパーで7-8割。スーパーの利用は直近で6割強。一般小売店の減少傾向が著しい。

・コンビニの利用はほんの少しだが、確実に増加。

意外なのは、若年層の食料に係わる出費におけるコンビニ利用額比率に、明らかな減少傾向が見られること。より安価に食品が調達できるスーパーへのシフトが確認できることからも、時代の流れとともに定価販売のコンビニの利用をためらい、安い場所を探し求める一人暮らしの若年層の生活の厳しさが、改めてうかがいしれよう。

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※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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