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全体では24.1%の人が利用、13~19歳なら65.5%も…オンラインゲームの利用実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ついつい夢中になるスマートフォンのオンラインゲーム。(写真:アフロ)

インターネットのインフラとしての普及と、それにアクセスするための窓口となるパソコンやスマートフォンの普及で、大きく様変わりしたのがゲーム業界。今ではインターネットへの接続で不特定多数との意思表示や、運営側が有するデータとのやりとりによって進展するゲーム(オンラインゲーム)がごく当たり前のものとなってしまった。そのオンラインゲームは現状でどこまで普及しているのだろうか。総務省が2021年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのは2020年時点で過去1年間にインターネットを利用したことがある人において、オンラインゲームをプレイしたことがあるか否かを尋ねた結果。ここにおけるオンラインゲームとは「インターネットを利用し、多人数で同時に同じゲーム進行を共有することができるゲーム」と説明されている。多人数同時参加型ネットワークロールプレイングゲームの類に限らず、ソーシャルゲームなども該当すると見てよい。また全部無料でプレイできるものに加え、有料制のものも含まれる。さらに機種は特定していないので、パソコンでもスマートフォンでも家庭用ゲーム機でもかまわない。

↑ オンラインゲーム利用者(過去1年間、インターネット利用者限定)(2020年)
↑ オンラインゲーム利用者(過去1年間、インターネット利用者限定)(2020年)

インターネット利用者全体では30.5%。インターネットを利用している人の3割強は、オンラインゲームを利用している計算になる。全般的には女性よりも男性が積極的に利用しており、年齢階層別では男性は中学生から高校生ぐらいでピークに達し、それ以降になると利用率は減っていく。男性は中高生の時がピークだが、20代まで5割超えが継続する。

女性は増減の仕方は男性と大きな違いは無いものの、元々の値が低く、最大値も4割強。男女間のオンラインゲームへの熱中ぶりの違いがよく表れている。

世帯年収別では低世帯年収ほど利用率も低い。しかし600~800万円未満の層が最大で、それ以上では逆に利用率が減ってしまうのは、高齢者が多くいるからだろうか。

上記のグラフはインターネット利用者に占める割合。実際には年上となるに連れてインターネット利用率そのものも減少していくので、世間一般との認識にはいくぶんのずれが生じている。そこで調査対象母集団全体として、各属性全員に対する比率を求めたのが次のグラフ。例えば男性20代は57.5%とあるので、インターネットを利用している人、していない人も合わせて男性の20代全員のうち57.5%はオンラインゲームをしている計算になる。

↑ オンラインゲーム利用者(過去1年間、調査対象母集団全体)(2020年)
↑ オンラインゲーム利用者(過去1年間、調査対象母集団全体)(2020年)

全体では24.1%、男性は29.3%、女性は19.3%。世間へのオンラインゲームの浸透度を推し量るのには、こちらの値の方が適切だろう。男性は中高生から20代までは5割以上だが、40代で3割台にまで落ちる。男性ではおおよそ40代と50代がオンラインゲームプレイヤーとしての境目だろうか。

女性も男性とはあまり変わらない増減の動きを見せるが、元々の値そのものが男性と比べて低い。ピークは20代で43.2%。

世帯年収別では600~800万円未満が増加のピークで、あとは横ばいとなり、1500~2000万円未満の層から減少。2000万円以上が低い値を示しているのは、ゲームとは距離を置きがちな高齢層が多く属しているためだと考えられる。

昨今ではオンラインゲームといえばスマートフォンを用いたものが世間一般によく知られている。基本無料でアイテムなどによる課金制のシステムがメインだが、スマートフォンそのものの利用者数が多く、光磁気ディスクのようなメディアによる提供ソフトと比べてアプリケーションによる提供のため購入しやすいこともあり、流れに乗れば利用者は万単位のものとなり、売上も大きなものとなりうる。

通販や交通地図と異なり、生活の上での必需性は無いため利用率は限られたものとなってしまうが、それでも現状はまだまだ伸び代があるようにも見える。例えば「ポケモン GO」のような、幅広い層が興味関心を抱くタイトルの創生が求められよう。

※2021.08.13.1550 一部グラフを正しいものに差し替えました。御迷惑をおかけしました。

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※通信利用動向調査

2020年分は2020年9月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7345世帯(4万4035人)、2223企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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