勉強や仕事の合間に、あるいは就寝前に布団の中で深夜ラジオ番組を聴くスタイルは容易にイメージできる。実際にはどれほど聴かれているのだろうか。NHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査(※)の報告書を基に確認する。

「国民生活時間調査」は5年おきに実施・結果の概要などが公開されており、直近となる2020年分と同一基準での調査が行われたのは1995年分以降。そこで直近分の2020年と、その10年前となる2010年、さらに10年前の2000年、合わせて3回分の調査結果を用い、各年の全体におけるラジオ(聴取)行為者率(各時点でラジオを聴いている人の割合)の推移を抽出し、ラジオの聴取がいかなる状況なのかとともに、変化が生じているのか否かを検証する。国民全体、つまり調査対象母集団全体の動向のみとなるが、深夜帯の動きも分かる形となっている。

まずは直近分、2020年における平日・土曜・日曜のラジオ行為者率。30分おきの動向となっている。

↑ ラジオ行為者率(曜日別)(2020年)
↑ ラジオ行為者率(曜日別)(2020年)

意外といえば意外だが、ラジオは平日でもよく聴かれている。これは今件ラジオ聴取の領域が物理的なラジオ機器以外に、カーラジオはもちろん、らじる★らじる、radiko(ラジコ)経由からの聴取も該当するため。ラジオの種類別動向までは確認できないものの、男性就業者によるカーラジオ聴取が多分に値を底上げしていると考えられる。ちなみに単純に各時刻の行為者率を加算した値は平日が52.4%ポイント、土曜は58.3%ポイント、日曜は45.6%ポイントとなる。

朝食時間帯に向けて行為者率は上昇する一方で、昼食時間帯は逆に減少する、夕食時間帯の上昇が見られないなど、食事とラジオの関係は、テレビのそれとは随分と違う実態も確認できる。つまり食事をしながらラジオを聴くというスタイルは、少なくとも昼食や夕食の時には想定し難いという次第。

深夜帯の動向だが、日中よりは低めの値を示し、夕食時間帯後の減少からさらに値を落とすものの、一定率で聴取が続けられているのが分かる。そして22時から23時にかけては増加する動きすらある。この時間帯に人気の番組があるのだろうか。土曜の深夜帯に行為者率が比較的高めとなるのは、夜更かしをして翌日起床時間が遅くなっても問題がないからだろう。

これを今回データを取得した調査年分について、曜日別にその動向をまとめたのが次のグラフ。

↑ ラジオ行為者率(平日、調査年別)
↑ ラジオ行為者率(平日、調査年別)

↑ ラジオ行為者率(土曜、調査年別)
↑ ラジオ行為者率(土曜、調査年別)

↑ ラジオ行為者率(日曜、調査年別)
↑ ラジオ行為者率(日曜、調査年別)

一部イレギュラーが生じている部分もあるが、おおよそ昔ほどラジオ行為者率は高く、現代に近づくに連れて低くなる動きを示している。平日は通常の人が起床している時間帯の減少度合いが大きい。土曜は2020年は2000年と比べると大きな減り方をしているが、2010年との比較ではあまり変化がない。むしろ深夜帯では2010年よりも高い時間帯もある。そして日曜は夕食時間帯やその後における減り度合いが大きい。特にその日曜の動きに代表されるように、食事時間帯やその後、とりわけ夕食に係わる時間帯の減少が著しく、一家団らんやその後のプライベートな場面におけるラジオの立ち位置が弱くなっていることがうかがえる。

一番古い値となる2000年を基準とし、2010年と2020年の減退具合を差の%ポイントで示すと、その実情がよくわかる。

↑ ラジオ行為者率(平日、2000年からの変移、調査年別、ppt)
↑ ラジオ行為者率(平日、2000年からの変移、調査年別、ppt)

↑ ラジオ行為者率(土曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)
↑ ラジオ行為者率(土曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)

↑ ラジオ行為者率(日曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)
↑ ラジオ行為者率(日曜、2000年からの変移、調査年別、ppt)

平日は朝食時間帯に大きく下がり、昼食時間帯までは減少傾向が続き、昼食時間帯はいくぶん戻る。そして夕食時間帯に再び大きく下がって、その後は下がったまま。土曜はやや波が粗いが朝食時間帯と夕食時間帯の前に大きめの減少を示してそれ以降はそのまま、そして日曜は昼食時間帯の前と夕食時間帯の前から深夜までに大きな下落が確認できる。一方で日曜の昼食時間帯は2020年ではむしろ増加の動きが見られるのは興味深い。

今件はあくまでも10年毎に、基準年から2回経過した結果のみの動向でしかない。傾向だった動きかを判断するのには調査回数の不足は否めないが、調査対象母集団全体≒国民全体におけるラジオの聴取スタイルに、少しずつ変化が生じている、ラジオ離れが進んでいる雰囲気は把握できよう。

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※2020年国民生活時間調査

住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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