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9歳以下のスマホ利用者の85.9%が動画を見る時代…9歳以下の子供達のスマホ利用実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 幼い子供達もスマートフォンを利用する時代。具体的に何をしているのだろうか。(写真:アフロ)

好奇心旺盛な子供達にとって、スマートフォンが魔法のアイテム的存在であることは言うまでもない。その子供達はスマートフォンでどのようなサービスを利用しているのだろうか。その実情を内閣府が2021年3月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容から確認する。

次に示すのは調査対象母集団のうちスマートフォン(汎用のもの。契約切れやいわゆる格安スマホは除く)でインターネットを利用している人における、その利用内容を複数回答で尋ねた結果。動画視聴をしている人がもっとも多く、85.9%を示す形となった。なおグラフの横軸の具体的項目名は報告書の並びに準じている。

↑ スマートフォンによるインターネットで何をしているか(9歳以下、スマートフォンでインターネット利用者限定、複数回答)(2020年)
↑ スマートフォンによるインターネットで何をしているか(9歳以下、スマートフォンでインターネット利用者限定、複数回答)(2020年)

次いで多いのはゲームの46.5%。スマートフォン本体に初めからインストールされているものか、アプリゲーム、ウェブゲームのような種類の詳細までは問われていないので判断はできないが、スマートフォンでインターネットにアクセスしている子供の半数近くはゲームをしていることになる。

勉強・学習は2割近く。元々スマートフォンを学習目的で子供に使わせているケースもあることを考えると、この値は相応のものだろう。他方、電子書籍は0.6%。今調査の限りだが、スマートフォンで電子書籍を読んでいると認識している子供はほとんどいない。

コミュニケーション(メールやメッセンジャー、ソーシャルメディアの利用)は10.1%、情報検索は10.3%と、いずれも1割程度。音楽視聴は21.1%と勉強・学習よりも多い。子供達のスマートフォンによるインターネットの利用、ほとんどが動画とゲーム、そしてせいぜい勉強や音楽目的といった表現が妥当だろう。

これを年齢階層別に区分したのが次のグラフ。年齢階層の多くの回答者数が2ケタのため(ゼロ歳は4人のみ)、統計的なぶれが生じている部分もある。

↑ スマートフォンによるインターネットで何をしているか(9歳以下、スマートフォンでインターネット利用者限定、複数回答、年齢階層別)(2020年)(その1)
↑ スマートフォンによるインターネットで何をしているか(9歳以下、スマートフォンでインターネット利用者限定、複数回答、年齢階層別)(2020年)(その1)

↑ スマートフォンによるインターネットで何をしているか(9歳以下、スマートフォンでインターネット利用者限定、複数回答、年齢階層別)(2020年)(その2)
↑ スマートフォンによるインターネットで何をしているか(9歳以下、スマートフォンでインターネット利用者限定、複数回答、年齢階層別)(2020年)(その2)

スマートフォンでの動画視聴はゼロ歳から行われている(もっともゼロ歳は4人しかスマートフォンでインターネットを利用している人がいないので、「4人全員が見ている」という実情以上の意味はない)。年齢とともに利用率は下がる傾向はあるが、同じタイミングでゲームの利用率がおおよそ上がっているので、興味が動画からゲームに移るのかもしれない。もっともいずれの年齢でも動画を見る人が7割を切ることはない。

勉強・学習はややばらつきがあるが、1~2割台で一定値を示している。他方、コミュニケーションや情報検索などは年齢とともに値を増やしていることから、単純に学びを受けるだけでなく、色々な切り口でスマートフォンによる学習をしていくものと考えられる。

ぶれも合わせ多少の差異はあるが、年齢を問わず、動画視聴とゲームがスマートフォンでインターネットを使う低年齢層の主な使い道であることに変わりはない。子供達にとってスマートフォンは動画を楽しみ、ゲームで遊ぶ、エンターテインメント機のような存在なのかもしれない。

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※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書

今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2020年11月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年11月5日から12月13日にかけて行われたもので、保護者に対して子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2247人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ300人、83人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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