90.6%と圧倒的な動画視聴率…9歳以下の子供達のネット利用実情
インターネットは多様な価値観の世界へ瞬時に足を踏み込める、魔法の杖のような存在。それを用いて幼い子供達は何をしているのだろうか、その実情を内閣府が2021年3月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容から確認する。
次に示すのは何らかの機種でインターネットを利用している人に対し、そのインターネットの操作で何をしているかを複数回答で尋ねた結果。動画視聴をしている人がもっとも多く、90.6%を示す形となった。なおグラフの横軸の具体的項目名は報告書の並びに準じている。
具体的にどのような動画なのか、視聴頻度や時間はどれほどなのかまでは問われていないが、「(普段は)インターネットで何をしている?」との質問に「動画を見ている」と答えられる程度には視聴していることに違いはない。次いで多いのはゲームで61.8%。エンタメ目的の利用が多分に及んでいることになる。
次いで多いのは勉強・学習で34.8%。音楽視聴の23.2%、コミュニケーション(電子メール、メッセンジャー、ソーシャルメディアなど)の16.7%と続く。ニュースの閲覧、電子書籍などは1割にも満たない。
これをインターネットを利用する機種別に見たのが次のグラフ。ただし一部機種では回答総数が少数のため、データにぶれを起こしている項目もある。まずは携帯電話(スマートフォンや子供向け携帯電話など)やパソコン(ノートパソコン、デスクトップパソコン)。
携帯電話やパソコンでは、その利用スタイルの同じ部分、そして違う部分がよくわかる結果が出ている。動画視聴はどちらも変わらず高い値を示しているが、特に表示画面が大きなデスクトップパソコンではノートパソコンよりも高め。
他方、コミュニケーションはスマートフォンなどの携帯電話の方が高い値を示している。プライバシーを考えれば、保護者と共用しているパソコンでの利用は避けたいと考えるのは当然ではある。情報検索では逆にパソコンの方が高めの値を示しているが、これは画面の大きなパソコンで検索をした方が、スマートフォンよりは色々とやりやすいからだろう。
子供向け携帯電話ではコミュニケーションが突出した値を示している。これは保護者との間で電子メールなどを使って安否確認などをしているものと考えられる。他の用途の回答率がほとんどゼロかそれに近い実情も合わせ、子供向け携帯電話が事実上、子供と保護者間のホットライン的なツールとして使われている証だろう。
続いてタブレット型端末や家庭用ゲーム機など。
タブレット型端末の利用性向はスマートフォンとパソコンの中間のような雰囲気。動画視聴の値が圧倒的に高く、ノートパソコンやデスクトップパソコンを超え、スマートフォンに肩を並べるほどの値。勉強・学習の値はむしろスマートフォンやデスクトップパソコンより高い。
家庭用ゲーム機は携帯ゲーム機も据置型ゲーム機もゲームに特化している(当然の話だが)。他方、動画視聴をする人も2~3割台確認できるのが興味深い。その他の利用目的はごく少数派でしかない。
あまり注目されることのないインターネット接続テレビだが、他機種同様動画視聴がもっとも高い値。そのほかには音楽視聴が17.0%、ゲームが5.8%。インターネットも使えるテレビで何をしているのか気になる人も多いだろうが、子供に限れば動画や音楽、ゲームという次第ではある。
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※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書
今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2020年11月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年11月5日から12月13日にかけて行われたもので、保護者に対して子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2247人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ300人、83人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。