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子供のインターネット動画視聴動向(2021年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 親子で動画を視聴中。(写真:Paylessimages/イメージマート)

インターネットの普及に加え、インターネット回線の高速化、さらには動画配信技術の進歩により、インターネットを使って動画を配信するサービス、そしてそれを用いた動画視聴は、ごく当たり前の行動となった。今や映像視聴のスタイルとして、インターネット動画は日常生活において欠かせない存在となっている。今回はNHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査(※)の報告書を基に、子供におけるインターネット動画の視聴動向を確認していくことにする

インターネット動画(の行動)とは今調査では「レジャー活動としてインターネット経由の動画を見る」と定義されている。全体は小中高校生や大学生だけでなく、調査対象母集団全体を意味する。「行為者」とは指定された行動を実際にした人のこと、「行為者率」は指定された時間に該当行動を15分以上した人が、属性対象人数に対しどれほどいたのか、その割合。例えば該当属性の人数が500人で、特定時間帯のインターネット動画行為者率が15%ならば、その時間帯には500×15%=75人の人がインターネット動画を見ていたと回答したことになる。なおインターネット動画の行為者率は2020年調査から項目として登場したため、前回調査(2015年)との比較はできない。

↑ インターネット動画行為者率(曜日別)(2020年)
↑ インターネット動画行為者率(曜日別)(2020年)

↑ インターネット動画行為時間(行為者限定、曜日別、時間:分)(2020年)
↑ インターネット動画行為時間(行為者限定、曜日別、時間:分)(2020年)

全体では平日が19.9%、日曜は21.0%。曜日で行為者率にほとんど変わりはない。ところが小学生と中学生は平日よりも日曜の方が高く、高校生と大学生では逆に日曜よりも平日の方が高い。小中学生は平日にあまり時間が取れないか、あるいは保護者から視聴をしないように止められているかもしれない。インターネットへアクセスできる端末を自分で持っておらず、世帯共有の端末を利用しているか保護者から借りていれば、その可能性は十分に考えられる。高校生や大学生になれば自分の端末を使えるようになるので平日から自在に視聴できるようになるため、行為者率も上がる。そして日曜は逆に他の行為に時間を割り振っているため、行為者率は平日よりも小さくなるのかもしれない。

他方行為者率そのものは小学生で平日30.5%、日曜で39.5%。中学生以上は平日で4割超えとなる。これだけの人がインターネットで動画を見ていることになる。

一方インターネットで動画を見ている人の時間だが、全体では平日2時間、日曜は2時間31分。小学生では平日でも1時間2分、休日は1時間56分と2時間近く。あくまでも見ている人限定だが、かなりの時間をインターネット動画の視聴に費やしていることになる。これが中高生では平日2時間ほど・日曜は2時間半強、大学生では平日2時間半・日曜は3時間半ほどにまで伸びる。行為者率と異なり、どの学校種類でも平日より日曜の方が長くなっているのは注目に値する。日曜は映画を見るような、あるいはテレビで番組を切り替えながら見続けるようなスタイルで視聴しているのだろうか。

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※2020年国民生活時間調査

住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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