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熱中症での救急搬送人員数は1週間で892人(2021年6月14日~6月20日)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ まだ6月だが真夏日を観測する暑い日も。熱中症への注意は欠かせない。(写真:アフロ)

・直近週における熱中症による救急搬送人員数は892人(2021年6月14日~6月20日)。

・年齢階層別では乳幼児が1.0%、少年が12.7%、成人が30.0%、高齢者が56.3%。

・地域別では福岡県の66人がもっとも多く、次いで大阪府の61人、東京都の47人。

総務省消防庁は2021年6月22日、同年6月14日~6月20日の1週間における熱中症による救急搬送人員数が892人(速報値)であることを発表した。消防庁が確認している今年の累計人員数は4900人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は幸いにもゼロ人だったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は21人が確認されている。なお前年2020年の同時期における熱中症による救急搬送人員数は1528人(確定値)で、今回週の人員数はそれと比べると6割近くで済んでいる。

↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位、速報値、人)(2021年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位、速報値、人)(2021年)

↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値、人)(2021年6月14日~6月20日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値、人)(2021年6月14日~6月20日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分比率)(2021年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分比率)(2021年)

昨年に続き今年の夏も法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請、さらに数字目標無しの節電要請ですら必要は無い。しかし東日本震災から10年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また2021年5月時点で気象庁が発表した最新の暖候期予報では、平均気温は平年と比べてやや高め(北・東・西日本で平年並または高い確率ともに40%、沖縄・奄美で高い確率50%)とのこと。降水量も平年と比べてやや多めとの予想(北・東・西日本で平年並または多い確率ともに40%)もあるが、熱中症リスクの観点では要注意な状況と判断できる。さらに今年は新型コロナウイルスの流行で、マスク着用を求められる場面が多いことから、熱中症には一層の注意が必要。

↑ 暖候期予報(夏(6~8月)の平均気温・降水量)(気象庁、5月時点)
↑ 暖候期予報(夏(6~8月)の平均気温・降水量)(気象庁、5月時点)

消防庁では例年と同じように熱中症による救急搬送人員数の調査とその結果報告について、5月初日が含まれる週の月曜となる4月26日から開始する形で、逐次報告を行うことを2021年4月8日の時点で発表している。なお昨年2020年は新型コロナウイルス流行へ対応する消防のリソースを最優先するために平年の開始予定から延期され、調査開始は6月初日が含まれる週の月曜となる6月1日からとなっていた。

今回発表された各種値は今年の分としては第8週目のものとなる。現時点では速報値であり、今後逐次確定値に切り替えられることになる(確定値は速報値よりもいくぶんの増加が生じることが多い)。

地域別では福岡県の66人をはじめ、大阪府の61人、東京都の47人などが人数の上で上位についている。人数で見ると北海道と人口密集地域に多い感はある。

↑ 東京都の天候と最高気温(度)(2021年6月14日~6月20日)
↑ 東京都の天候と最高気温(度)(2021年6月14日~6月20日)

↑ 大阪府の天候と最高気温(度)(2021年6月14日~6月20日)
↑ 大阪府の天候と最高気温(度)(2021年6月14日~6月20日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(救急搬送人員数上位都道府県、人)(2021年6月14日~6月20日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(救急搬送人員数上位都道府県、人)(2021年6月14日~6月20日)

↑ 熱中症による救急搬送人員数(都道府県別、人)(2021年6月14日~6月20日)
↑ 熱中症による救急搬送人員数(都道府県別、人)(2021年6月14日~6月20日)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな官公庁の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例: 【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)。

↑ 熱中症の応急手当。消防庁配布による熱中症対策のリーフレットから抜粋
↑ 熱中症の応急手当。消防庁配布による熱中症対策のリーフレットから抜粋

まだ6月ですでに北海道を除く全地域で梅雨入りをしており、雨が降る日も多々あるが、気温は高く、真夏日を観測するなどで熱中症のリスクに留意しなければならない気候となっている。特に今年は新型コロナウイルスの流行という特殊要因が加わっており、熱中症のリスクは確実に積み増しされている。今後も知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も併せ、健康管理に留意してほしいものである。

上記は今記事のダイジェストニュース動画(筆者作成)。合わせてご視聴ください。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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