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アメリカ合衆国にとって現在と今後、重要なパートナー国はどの国なのか(2021年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ アメリカ合衆国国民が「パートナー」と認識している国は?(写真:アフロ)

「パートナー」とは多様な意味合いを持つ言葉。配偶者のように一生を寄り添う深い意味を持つ場合もあれば、仕事の上での共同作業相手や取引先のような特定の視点における親しい関係を意味することもある。今回は外務省が2021年5月に発表した「米国における対日世論調査」(※)の結果から、政治や経済、外交方面などを包括した、総合的な国同士の付き合いとしての「パートナー」となる国に関するアメリカ合衆国国民の考えを確認していく。

次に示すのはアメリカ合衆国の一般人に対し、「現在重要なパートナー国は次のうちどの国か」「今後重要なパートナー国は次のうちどの国か」に関して、複数回答で尋ねた結果。一般人における各国への認識、信頼、結びつきにおける総合評価的な値と見てよいだろう。要は「今現在この国との付き合いは大切」「今後この国との付き合いは大切になるに違いない」とアメリカ合衆国国民がどの国に対して思っているかである。

↑ アメリカ合衆国にとって現在/今後重要なパートナーは(一般人、複数回答)(2020年度)
↑ アメリカ合衆国にとって現在/今後重要なパートナーは(一般人、複数回答)(2020年度)

現在パートナーとの認識度が一番高い対象国はカナダ。50%の人がカナダは重要なパートナーだと考えている。次いでイギリス、日本、ドイツ、フランスと続く。物理的な距離感ではなく、経済的な観点、政治外交面での評価を積み重ねて、その総合点の高い順だと考えれば、納得のいく値ではある。イギリスの値が高めに出ているのは、同国がEUから離脱したことも影響しているのかもしれない。

一方今後となるとトップはやはりカナダ、そして同値でイギリスが入る。そして第3位は日本。この上位3国はほぼ順位も含め、現在と今後で顔ぶれが変わらないのは興味深い。

おおよその国が現在・今後でさほど変わりない順位を示しているが、現状と比べて今後の値が大きな伸びを示している国を見ると、日本以外では中国やロシアのような対峙国、ブラジルのような近隣国において大きな伸びが確認できる。他方、インドや南アフリカの伸びは理由を見つけるのが難しい。資源の豊富さがポイントだろうか。

あくまでも今件は一般人の認識であり、アメリカ合衆国の国策を意味するものではない。とはいえ、一般人の代表である議員が国策に携わることを考えれば、まったくの的外れな方向性とも言い難い。色々と考えさせられる結果ではある。

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※米国における対日世論調査

直近分は外務省がハリス社に委託し、アメリカ合衆国内において電話により2020年12月~2021年1月に実施されたもので、有効回答数は一般人1013人(18歳以上)・有識者200人(政官財、学術、マスコミ、宗教、労働関係などで指導的立場にある人物)。一般人にはインターネット経由で、有識者には電話によるインタビュー形式で実施されている。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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