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どの地域が一番牛豚鶏肉を食べているのだろうか、金額面から実情をさぐる(2021年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 主要な精肉を一番たくさん食べているのはどこの地域か。金額面から確認する。(写真:アフロ)

餃子の消費日本一をめぐり各地域が激しい競争をしていることはよく知られている。これは総務省統計局の家計調査の年次調査結果を基に、金額ベースでの高低を比較したもの。そこでその手法を用い、主要な精肉の消費性向を見ていくことにする。つまり「牛肉・豚肉・鶏肉の支出金額が一番多いのはどこの地域か」を公的データから確認する次第。

次に示すのは主要精肉である牛肉・豚肉・鶏肉それぞれの、総世帯における年間支出金額上位10位の都道府県をグラフ化したもの。世帯単位での年間消費額を示したもので、例えば牛肉消費額トップの滋賀県なら、2020年の1年間で牛肉に対して1世帯あたり平均3万3464円を支出したことになる。

↑ 年間牛肉支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)
↑ 年間牛肉支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)

↑ 年間豚肉支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)
↑ 年間豚肉支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)

↑ 年間鶏肉支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)
↑ 年間鶏肉支出金額トップ10(総世帯、都道府県別、円)(2020年)

いくつかの都市は複数のグラフ内に顔を見せており、特定の種類だけでなく多種目の精肉を支出金額面で多く購入=消費していることが分かる。また上位陣を見ると「牛肉は西日本が多い」「豚肉は東日本が多め」「鶏肉は西日本、特に九州が多い」のが見て取れる。

このうち「九州で鶏肉の消費金額が多い」のは九州地方が「唐揚げのメッカ」的存在なのと深い関係がある。また鶏肉自身の消費が大きい起因に関しては【「肉」といえば牛?豚?鶏?(全国やきとり連絡協議会)】の解説によると、「九州で鶏肉の消費が多いのは、古くから外国との交流があり、水炊き、筑前煮などの食文化もあったことが影響している」とのことである。鶏肉の消費が元々メジャーなため、唐揚げ文化も活性化したようだ。【日本唐揚協会の歴史解説「唐揚げの歴史」】でも、元々養鶏場が多くあり、それが戦後の食糧難打開という国策にも相まって、この地域で唐揚げが多く食べられるようになったと説明されている。

最後に金額ベースで都道府県別に、世帯単位での消費金額を比較し、牛肉と豚肉のどちらを多く消費しているかで色分けした地図を作成した(鶏肉が最上位の場所は皆無)。

↑ 豚肉・鶏肉の年間消費量(家計調査・二人以上世帯、鶏肉の方が消費量が多い都道府県は着色、都道府県別)(2020年)
↑ 豚肉・鶏肉の年間消費量(家計調査・二人以上世帯、鶏肉の方が消費量が多い都道府県は着色、都道府県別)(2020年)

一部飛び地的に「豚肉>>牛肉」の地域もあるが、おおよそ九州から中国、四国は牛肉の支出金額が、豚肉を上回っていることが分かる。カレーに使われる肉の件も併せ、「西牛東豚」な状況が確認できる次第ではある。

■関連記事:

【日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(上:金額編)】

【増える肉類、減る魚介類…主要食品摂取量の実情をさぐる(2020年10月発表版)】

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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