パートやアルバイトなどの短時間労働者の平均賃金の実情をさぐる(2021年公開版)

↑ コンビニのアルバイトのような短時間労働者の賃金は平均でいくらぐらいだろうか。(写真:アフロ)

正規社員をはじめとしたフルタイム出勤の労働者と異なり、パートやアルバイトのように1日の労働時間が短い、あるいは1週間あたりの労働日数が少ない労働者のことを「短時間労働者」と呼ぶ。この立ち位置にある就労者はフルタイムの労働者と比べ賃金は低く抑えられており、時給制が採用されている場合が多い。今回は厚生労働省が2021年3月に発表した、賃金関連の情報を集約した年ベースでの調査「賃金構造基本統計調査」の報告書を基に、短時間労働者の平均賃金の確認を行う。

まず言葉の定義を確認しておく。

↑ 雇用形態関連の分類。引用した図では「正社員・正職員」と表現されているのは「正規社員」を意味する(賃金構造基本統計調査の結果報告書から引用)。
↑ 雇用形態関連の分類。引用した図では「正社員・正職員」と表現されているのは「正規社員」を意味する(賃金構造基本統計調査の結果報告書から引用)。

・常用労働者…期間を定めずに雇われているか、1か月以上の期間を定めて雇われている労働者。

・一般労働者…短時間労働者以外の労働者。

・短時間労働者…同一事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短い、または1日の所定労働時間が同じでも1週の所定労働日数が少ない労働者。

「短時間労働者」は、定義の上では「同一事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短い、あるいは1日の所定労働時間が同じでも、1週の所定労働日数が少ない労働者」を意味する。例えば「就業日はフルタイムでの出勤だが、出勤日は週3日」「就業日は一般労働者と同じ平日すべてだが、午後のみの出勤」の場合は「短時間労働者」に該当する。また契約社員の大部分は正規社員と同じ時間帯で働くことから「一般労働者」に該当し、今回の「短時間労働者」には該当しない。

パートやアルバイトの時給に関する話でよく取り上げられるのが、最低賃金制度と最低賃金法。これは都道府県別・産業別で時給単位の最低賃金を法的に定めたもの。例えば東京都の場合は時給1013円(2020年10月時点)となっている。

さて、2020年時点での男女・年齢階層別の短時間労働者における平均賃金(時給)をグラフ化したのが次の図。全体では男性1658円、女性1323円。ほとんどの年齢階層で女性より男性の方が高い金額である。なお2020年分調査から一部で推計方法が変更されており、必要なものに関しては、その方法に基づき2019年分もさかのぼって再計算されている。

↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(年齢階層別・男女別、円)(2020年)
↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(年齢階層別・男女別、円)(2020年)

男性では30代後半まで大きく上昇した後は大体横ばい、60代前半から落ち始めるが、女性は20代前半でほぼ頭打ちとなり、30代後半でもっとも高い値を示し、それ以降はほぼ年齢とともに漸減している。男女別のパート・アルバイトの需要の違いにもよるが、年を経るに連れて就業可能なパートなどの産業・職種の、男女における違いの表れともいえる(同一職種での比較ではないことに注意。また仮に同一の産業・職種での比較においても、男女で就労内容は異なる場合が多い)。

前年2019年からの額面変移を見たのが次のグラフ。

↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(前年比、年齢階層別・男女別)(2020年)
↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(前年比、年齢階層別・男女別)(2020年)

女性は幅こそ違えどすべての年齢階層で前年比プラスを示している。一方で男性は若年層ではプラスなものの、中年層以降ではマイナスを示す年齢階層が多い。特に50代では前半・後半ともに1割以上のマイナスを示している。単純に考えれば、短時間労働者に関しては女性は人手不足、男性は中年層以上では人手の余剰が生じていたということなのだろう。

ただし2020年は新型コロナウイルス流行でパートやアルバイトのような短時間労働者需要が減っていることから(労働力調査などから確認)、賃金の高い特殊性のある職業に就いている人は就業を継続できたものの、単純労働などによる低い賃金の人が解雇され、結果として平均値が底上げされた可能性は否定できない。

参考までに男女別・主な産業別の平均賃金、および去年からの変移(金額)を挙げておく。

↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(主な産業別・男女別、円)(2020年)
↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(主な産業別・男女別、円)(2020年)

男性は教育・学習支援業や医療・福祉が飛び抜けて高い。それ以外は大体1000円強に収まっている。他方女性は医療・福祉がやや高めだが、それ以外は男性と同じく1000円強。

卸売・小売業や宿泊・飲食サービス業がやや低めだが、それ以外はおおよそ1200円前後で横並び。この低めの産業はいずれも人手不足の深刻化が叫ばれていることを思い起こせば、賃金水準がまだ労働力需給状況の実情に追いついていないのが一因とも考えられる。女性では医療・福祉が飛びぬけているが、それ以外はほぼ横並び。業務の実情を考えれば、医療・福祉はこれでもまだ水準としては低い感はある。

なおこれらの値はあくまでも全国平均であり、地域によって差があること、さらには上記で触れている通り最低賃金法との兼ね合わせもある(今回の平均賃金は当然に最低賃金を上回っているが)ことを忘れてはならない。

■関連記事:

【契約社員5割・パートやアルバイトの3割は「正社員に成れなくて仕方なく】

【2019年は99万人…高齢フリーターの推移と現状(2020年公開版)】

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。