2021年2月度外食産業売上は前年同月比でマイナス22.3%

↑ 緊急事態宣言の再発出で居酒屋業態は大打撃。(写真:西村尚己/アフロ)

日本フードサービス協会は2021年3月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2021年2月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でマイナス22.3%を示した。新型コロナウイルス流行が再拡大の動きを見せ、さらに一部地域で再発出された緊急事態宣言の延長が行われたことでサービス提供の制限要請が継続され、客足が遠のいている。業態間の格差も広がり、中でも飲酒業態は壊滅的な状態に陥っている。

全業態すべてを合わせた2021年2月度売上状況は、前年同月比で77.7%となり、22.3%の減少を記録した。これは前回月から続く形で12か月連続の減少。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらず、土曜日は1日少なく、売上にはマイナスの影響。気象環境では雨天日は東京は少なく大阪も少なく、平均気温は東京・大阪ともに高めのため、客足への影響判断はプラスと解釈できる。

他方、新型コロナウイルスの流行による外出自粛や多人数が集まる場所への忌避感は強い。感染者数の増加による流行第三波が確定的なものとなり、さらに一部地域での緊急事態宣言の再発出が延長されたことから、客数の大幅減が継続する状況となっている。また就業者の在宅勤務も継続されており、就業者相手の業態では苦戦が続いている。

結果として客数は全体では前年同月比でマイナス23.2%を示した。一方で客単価はプラス1.1%となり、結果として売上はマイナス22.3%に。前回月の売上高マイナス21.0%より悪化してしまっている。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で3か月連続のマイナス(マイナス8.7%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「宣言継続下でドライブスルーやデリバリーの需要が堅調、まとめ買いにより」とあり、テイクアウトやデリバリーの選択肢を持つことへの奏功の影響が大きく、また他業態とは異なり緊急事態宣言すらもプラスに作用し、売上はプラス1.5%と詳細業態区分では唯一のプラスに。

なおマクドナルド単体の2021年2月における営業成績はプラス1.7%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。客数はマイナス11.3%だったが客単価がプラス13.8%と大きく伸びていることから、持ち帰り需要を上手くこなしたようだ(マクドナルドの月次報告書にも「安全で利便性の高いドライブスルーやデリバリーの強化、バリュープログラムの継続といったこれまで実施してきた取り組みにより、ベースセールスが着実に上昇しています」との表記がある)。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス20.2%、客単価はプラス4.5%となり、売上はマイナス16.6%。麺類は客数マイナス29.9%、客単価はプラス1.4%となり、売上はマイナス28.9%。和風は「テイクアウトが堅調だったものの、営業時間短縮の打撃が大きく」とあり、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の再発出による営業時間短縮要請で勢いが打ち消されてしまったようだ。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がマイナス4.3%。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス33.6%、客単価はプラス1.7%、売上はマイナス32.4%。全体として「コロナ禍で取り組み始めたテイクアウトが伸びているものの、引き続き営業時間・酒類提供時間の短縮を強いられ」とあり、特に緊急事態宣言の再発出に伴う営業時間短縮要請などが打撃となったようだ。焼き肉は「宣言期間延長の中、休業した店舗もあり」との言及があり(売上はマイナス37.2%)、緊急事態宣言の再発出延長が大きく響いたようだ。

パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はマイナス75.9%、居酒屋の売上はマイナス69.5%。部門全体では売上はマイナス70.7%を示した。「酒類提供時間の制限下で休業を続ける店舗も多く」「駅前など繁華街立地の店舗は特に苦戦が続いている」と説明されており、新型コロナウイルスの流行と業界の体質との相性の悪さに加え、緊急事態宣言の再発出継続が大ダメージとなっていることがうかがえる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はマイナス43.1%、客単価はマイナス5.7%で売上はマイナス46.3%を示した。「2月後半は週末を中心に客足がやや戻る店舗もあったが、営業時間短縮の影響は甚大」との説明がある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2021年2月度分)(日本フードサービス協会報告書より抜粋)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2021年2月度分)(日本フードサービス協会報告書より抜粋)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2021年2月度)
↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2021年2月度)

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。

次回月の2021年3月分では、緊急事態宣言の再発出は2021年3月21日で全地域にて解除されたものの、一部地域ではそれに準じた独自の宣言が出されていたり、再発出時同様の営業時間短縮の要請が継続されるなど、外食産業には厳しい環境が続くことになる。また感染者数も減少傾向が足踏み状態、さらには増加の兆しすら見えることから、心理的影響として外食店への利用が控えられる可能性もある。今回月ほどではないものの、同様の悪い値が出てしまうことだろう。

ただし前年同月の2020年3月ではすでに新型コロナウイルス流行による大きな影響(全体で売上は前年同月比マイナス17.3%)が生じており、それとの比較となるため、見た目の下げ幅はそれほど大きなものとはならないかもしれない。

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