「ちゃお」がトップの24.3万部…少女向けコミック誌の部数動向をさぐる(2020年10~12月)

↑ コミック誌は男子向けだけでなく女子向けのものも人気だが。(写真:アフロ)

部数は「ちゃお」がトップ

日々進歩する技術、中でもインターネットとスマートフォンをはじめとしたコミュニケーションツールの普及に伴い、紙媒体は立ち位置の変化を余儀なくされている。すき間時間を埋めるために使われていた雑誌は大きな影響を受けた媒体の一つで、市場・業界は大変動のさなかにある。その変化は少年・男性向けコミック誌ばかりでなく、少女・女性向けのコミック誌にもおよんでいる。今回はその雑誌のうち、少女向けコミック誌(少女向けのコンセプトで発刊されているコミック雑誌。おおよそ未成年でも高校生ぐらいまでが対象)について、日本雑誌協会が四半期ベースで発表している印刷証明付き部数(※)から、実情を確認する。

まずは少女向けコミック誌の現状。最新データは2020年10~12月分。

↑ 印刷証明付き部数(少女向けコミック誌、万部)(2020年7~9月期と2020年10~12月期)
↑ 印刷証明付き部数(少女向けコミック誌、万部)(2020年7~9月期と2020年10~12月期)

少女向けコミック誌ではトップは「ちゃお」。第2位の「りぼん」に2倍近くの差をつけており、少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」的な群を抜く部数の多さ。この圧倒的差異をつけた状況は、現在データが取得可能な2008年4~6月期の値以降継続している。以前話題に上ったATM型貯金箱をはじめ、魅力的な付録の数々も、同誌をトップの座に位置し続けさせている大きな要因となっているようだ。

第2位は「りぼん」、第3位は「花とゆめ」。そしてその後に「LaLa」「別冊マーガレット」「なかよし」「Sho-Comi」が続いている。部数動向としては「ちゃお」が前期比で大きく減っているのが見て取れる。

プラスは3誌のみ…四半期変移

次に前期と直近期との部数比較を行う。雑誌は季節で販売動向に影響を受けやすいため、精密さにはやや欠けるが、大まかに雑誌推移を知ることはできる。

↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前期比)(2020年10~12月期)
↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前期比)(2020年10~12月期)

プラス誌は「マーガレット」「ベツコミ」「LaLa」の3誌。前期から部数変わらずが「りぼん」「Cheese!」「ザ・マーガレット」の3誌で、それ以外はマイナス。誤差領域(上下幅5.0%以内)でのマイナスが5誌、それを超えた下げ幅は2誌。前期比で1割以上の下げも1誌確認できる。

「ちゃお」は大きな減少が続いている。

↑ 印刷証明付き部数(ちゃお、部)
↑ 印刷証明付き部数(ちゃお、部)

該当期間に発売されたのは3誌。それぞれ読者層に合わせた魅力的な付録(ときめきコスメティックポーチ、LUVロゴメッシュショルダーバッグ、ひみつのカギつきれいぞうこ型貯金箱)が高評価を受けている。連載陣にもファンは多く、人気が無いなどの理由で部数が落ち込んだわけではなさそうだ。

一方で中長期的に見れば部数は漸減中であることもまた事実。2期前に一時的に部数が回復の動きを見せたものの、すぐに失速してしまったのは残念。少女向けコミック誌での部数トップの威厳を維持してほしいものだが。

全誌がマイナス…前年同期比

続いて前年同期比による動向。年ベースの変移となることから大雑把な状況把握となるが、季節による影響を考慮しなくて済むので、より確かな精査が可能となる。

↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前年同期比)(2020年10~12月期)
↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前年同期比)(2020年10~12月期)

前年同期比で印刷証明付き部数がプラスとなった少女向けコミック誌は皆無。プラスマイナスゼロも無く、1誌「りぼん」を除いた全誌マイナスで誤差領域を超えた下げ幅。1割を超えた下げ幅を示しているのは9誌。「別冊フレンド」は3割以上の下げ幅を示している。いずれも掲載作品に何か大きな動きがあったわけではなく、本質的な不調にあると解釈できる。起死回生の策が必要な時期に来ていることには違いない。新型コロナウイルスの流行が部数減少傾向に拍車をかけた可能性は否定できないが。

かつて複数の雑誌で見受けられた「おそ松さん」特需だが、今期では残り香すら覚えることなく、各雑誌の部数動向は通常運転に戻っている。「進撃の巨人」や「おそ松さん」のような盛り上がりを複数タイトルで意図的に起こせるようになれば、それこそ全盛期の「週刊少年ジャンプ」のような活性化も不可能ではない。

他方、多くの雑誌で電子化が行われており、電子版に読者の一部を奪われ、結果として紙媒体としての印刷部数が減少している可能性は否定できない。あるいは単に、需要に合わせた部数の削減なのか。

しかしながら他の雑誌同様、電子版の部数は非公開のため、その推測の検証ができないのは残念ではある。

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※印刷証明付き部数

該当四半期に発刊された雑誌の、1号あたりの平均印刷部数。「この部数だけ確かに刷りました」といった印刷証明付きのものであり、雑誌社側の公称部数や公表販売部数ではない。売れ残り、返本されたものも含む。

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