Yahoo!ニュース

日本が一番の対外純資産保有国…世界全体で対外純資産額の実情をさぐる(2021年時点最新版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 世界で一番の対外純資産を持つ国は!?(写真:アフロ)

国単位での資産額は債務と債権を相殺した、特定の国から他の国々に対する「対外純資産額」で示される。その額についてIMFの公開データベースの値を基に、世界全体での実情を確認する。

対外純資産とは対外資産と対外負債を合算したもので「対外」とは該当国が他国に保有している資産や負債のこと。大まかな説明としては「資産…海外に対して色々な形で貸し付けているもの」「負債…海外から色々な形で借り受けているもの」となる。

次に示すのはIMFのデータベースで対外純資産額を確認できる国のうち、年ベースで取得可能な最新値となる2019年分がある国はその値、またない国は取得可能な2005年以降の値で最新のものを適用した計171か国について、上位国と下位国を抽出したもの(グラフ上では単純に「(2019年)」と表記している)。基データにある通り米ドル換算された値を用いている。なお下位陣のグラフでは最多負債国を左にしてある。

↑ 対外純資産(公的+民間、下位国、米兆ドル)(2019年)
↑ 対外純資産(公的+民間、下位国、米兆ドル)(2019年)

↑ 対外純資産(公的+民間、上位国、米兆ドル)(2019年)
↑ 対外純資産(公的+民間、上位国、米兆ドル)(2019年)

全世界を対象としても、最大の対外純負債を持つのはアメリカ合衆国。次いでスペインだが、アメリカ合衆国の額が大きすぎてグラフがゆがみを見せるほどとなっている。アメリカ合衆国とスペインとの差は10倍以上。

スペインの次はイギリス、ブラジル、アイルランド、オーストラリア、メキシコ、フランス、インド。経済的に難儀していることもあり、やはりそうなのかという感想を抱く国もあれば、意外なところで顔を見せていると思わせる国もある。

他方最大の対外純資産を持つのは、全世界で精査しても日本だった。次いでドイツ、中国、香港が続く。この4か国が対外純資産額で1兆ドル超え。さらにノルウェー、シンガポール、スイス、オランダ、カナダ、サウジアラビアが続く。

なおそれぞれのグラフの最下位がマイナス0.088兆ドル、プラス0.054兆ドルであることから、残りの131か国はプラス0.053兆ドルからマイナス0.087兆ドルに収まっていることになる。

この対外純資産は公的なものと民間のものを合算したもので、さらに資産部分は即時換金できるものではない。純資産を計算する時に行う、資産と負債の合算に、さほど深い意味合いは無い。個々の国の財政状態を概要的に知る程度のもの、状況の改善を模索するための参考資料程度のものであることに留意しておくべきであることは言うまでもない。

一方で、債務だけをことさらに強調して不安をあおったり、資産のみを提示して健全性をアピールするのも不健全な話には違いない。それらのような話がある際には、今件の対外純資産額の実情は、大いに役立つことだろう。

■関連記事:

【円ドル為替相場の移り変わりをグラフ化してみる(最新)】

【【更新】デフレで商品価格の下落が来年も続くとしたら「不安」、それとも「嬉しい」?】

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事