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高校入学から大学卒業までにかかる教育費用の実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 教育にはお金がかかる。その実情は。(写真:アフロ)

義務教育を終えた後の高校や大学などの教育機関に子供を通わせるにはそれなりに高額の教育費用が必要となる。現実問題としてどれぐらいの費用がかかっているのだろうか。日本政策金融公庫が2020年10月に発表した教育費に関する調査(※)の結果から確認する。

はじめに示すのは直近年における高校入学から大学などの卒業までに必要な入在学費用の総計。高校の費用は国公立と私立を合わせた平均で算出されている。また高校・大学などそれぞれにおいては在学費用だけでなく入学費用も含まれている。なお留年などは想定されていない。

↑ 大学などの卒業までに必要な入在学費用(子供1人あたり、高校卒業後の入学先別、万円)(2020年)
↑ 大学などの卒業までに必要な入在学費用(子供1人あたり、高校卒業後の入学先別、万円)(2020年)

高専・専修・各種学校なら総額は557.8万円で済む。私立短大でも658.2万円。しかし一般大学だと費用がかからないとのイメージが強い国公立大学でも783.2万円。私立となれば900万円を軽く超え、私立大学文系だと949.7万円、私立大学理系では1000万円すら超えて1109.2万円にもなってしまう。

大学などにおける入学費用はそれほど大きな差異は無いようにも見えるが、それでも高専・専修・各種学校と私立大学理系との間には2倍近くもの差が出ている。もっとも総額でも同じくらいの差は出ているのだが。

これらの額は昔から変わっていないのか、それとも変化しているのか。大学などの種類を問わず全体的な総額の平均額の推移を示したのが次のグラフ。

↑ 大学卒業までに必要な入在学費用(子供1人あたり、高校入学以降、万円)
↑ 大学卒業までに必要な入在学費用(子供1人あたり、高校入学以降、万円)

2016年にイレギュラーが生じてしまっているが、おおよそ増加する傾向にある。もっとも古い2014年時点では879.4万円だったのが、直近分となる2020年では965.1万円に。85.7万円もの上乗せである。これにはもちろん大学の入学費や授業料などの値上げ、物価の上昇なとが大きく影響しているのだろう。無論最初のグラフにある通り、この費用の多くは大学に入ってからのものとなる。

このままのペースではあと10年内外で1000万円を超えてしまうことは容易に想像ができる。一度にまとめての出費ではないものの、大きな負担には違いない。

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※教育費に関する調査

直近年分となる2020年分は、2020年9月7日から14日にかけて64歳以下の男女で高校以上に在学中である子供を持つ保護者に対し、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は4700人。各都道府県別で100人ずつ。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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