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世界全体での固定電話と携帯電話、普及率はどれぐらいなのだろうか(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 誰もが携帯電話を持つように見える時代。世界全体では!?(写真:Panther Media/アフロイメージマート)

国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)では毎年加盟国の携帯電話やインターネットの普及率をはじめとした、各種電気通信関連の統計データを更新・公開し、検証材料を提供している。今回は世界全体、あるいは先進国・新興国といった大きな枠組みにおける、固定電話と携帯電話の普及動向を確認する(※)。国の状態別で区分した場合、電話の利用状況にはどのような違いが見られるのだろうか。

固定電話・携帯電話それぞれにおける、世界全体・先進国・新興国それぞれの普及率推移は次の通り。収録されているデータは2005年以降のものであることから、グラフもそれに従っている。なおデータ取得時において、今件項目の値は2019年までが確認できたので、グラフにもそれを反映している。

↑ 固定電話普及率(契約数/人口)
↑ 固定電話普及率(契約数/人口)
↑ 携帯電話普及率(契約数/人口)
↑ 携帯電話普及率(契約数/人口)

固定電話の普及率が漸減の動きを示すのは、先進国・新興国を問わず、世界全体での流れ。そして社会全体としても個々の契約としても費用がかかるため、普及率は先進国の方が新興国よりも高いことが分かる。

一方携帯電話は言葉通り「右肩上がり」の状態にある。先進国は飽和状態に手が届き始めた感もあり、上昇率は2009年前後から緩やかなものとなっているが、新興国はまだ年5%ポイント以上の伸びを示していた。2011年からは少々伸び率が低下しているが、それでも先進国と比べれば勢いはある。

そして2つのグラフを並べ見ると、電話インフラの観点では、新興国は従来の(先進国の)電話インフラの普及プロセス「電話そのものが無い」「固定電話が普及」「携帯電話が普及し、固定電話からシフトしていく」ではなく、「固定電話が普及」の手順を飛び越し、最初から「携帯電話が普及」に歩みを進めているのが分かる。インフラや機材の進歩が急なため、ステップをショートカットできる次第である。

新興国においても2019年でついに携帯電話の普及率が100%に届いた。複数のSIMカード保有の事例があるから、そのまま利用者数が増加しているとの考えはやや勇み足ともいえるし、インターネットに接続できるスマートフォン・マルチメディアフォンはそのうち何割かに過ぎない。とはいえ、ここまで多くの人が距離の離れた場所にいる人に情報をほぼリアルタイムで伝えられる、しかも高い機動力を有する手段を持つ時代は、有史以来初めてのこととなる。

携帯電話の普及とともに、人と携帯電話、そして情報との関係はどれほど変化していくのだろうか。言葉通り人は新たな時代を携帯電話とともに迎えることになるのだろう。

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※データの区分、用語解説

「携帯電話普及率」は契約件数をカウントし、それを人口で除算したもの。一人で複数の契約をしている場合も多数あるため、100%を超える可能性は十分にある。

固定電話も同じ計算方法。ただし世帯ではなく人口で除算していることや、利用形態を想像するに、1世帯で複数の固定電話契約が行われる状況は稀であることから(ましてや一人で複数の固定電話契約をする意味は無い)、おおよそ携帯電話の値より低くなる。

「先進国」「新興国」はITUの【Country classifications】に従っている。この様式は国連の区分と同じと説明されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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