トップは中国、世界の3割近く…世界の二酸化炭素排出量の実情をさぐる(2020年公開版)
もっとも多くの二酸化炭素を出しているのは中国
温暖化に深く関連する問題として注目されている二酸化炭素の排出量。その実情を国際エネルギー機関IEA(The International Energy Agency)の最新公開資料(※)を基に確認する。
まずは世界全体の二酸化炭素排出量における、各国の比率。前回年2017年分では中国・アメリカ合衆国の順だったが、2018年分でもそれに変わりはない。
注目すべき動きとしては、上位国、特に新興国で増加を示していること。経済の活況化に伴い消費・生産が活発となれば、当然排出量も増加する。
中でも中国の多さが目に留まる。中国だけで世界の3割近い二酸化炭素を排出している計算になる。また絶対量は中国と比べれば少ないものの、インドの伸び方の著しさが注目に値する。他方アメリカ合衆国では経済復興の中でもむしろ減少しており(直近年では増加したが)、炭酸ガス排出対策が進んでいることがうかがえる。
日本ではグラフの対象期間より前の2011年以降においては、一時期増加の動きにあった。これは単なる経済復興だけでなく、震災起因による発電様式の変更を余儀なくされたことによるのも否定できない。ただし2014年以降は継続して減少しており、他国同様効率化が進んでいる動きが見受けられる。
比率の変化や国民一人あたりで
主な上位国について、前世紀末の2000年以降の、各年における全体比の動向を示したのが次のグラフ。中国、アメリカ合衆国など上位国の相対的な位置関係の変化が見て取れる。
上位2国(中国・アメリカ合衆国)の合計による全体比では大きな変化は無い一方、2006年に米中間で順位が入れ替わり、その後も両国の差異は広がるばかりとなっている。また2009年以降は第3位の位置についたインドもシェアを拡大する一方。直近2018年では上位3か国で全体の半分、50.0%にまで達している。
最後に示すのは、各国の排出量を単純にそれぞれの国の人口で除算して、一人あたりの排出量を算出したグラフ。国単位の排出量の直近年における上位国のみで確認している。
各国の国内事情、都市集中の度合い、工業化・公害対策技術の違いなど多様な要因があり、単純に「国民一人あたりの量」だけで各国の二酸化炭素排出量について判断することは難しい。例えばこのグラフでは、中国の値はアメリカ合衆国の半分足らずでしかないが、上のグラフにあるように「国単位での総量」では中国ははるかにアメリカ合衆国を上回る値を占めている。
国単位で「中国」の二酸化炭素排出量が世界最大である事実に違いはなく、たとえ一人頭の排出量が他国より少なくとも、「国単位として」課せられた責任は大きい。そもそも「国」とはその領域内におけるさまざまな要素の集合体であり、内包するものを統括する存在なのだから。
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※IEAの最新公開資料
具体的には「CO2 Emissions from Fuel Combustion」。現時点では2020年発行分で、2018年時点のデータが最新。今件値は燃料消費行動に伴う排出量であり、人間などの生物による生体活動に伴い排出される量は勘案されていない。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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