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他世帯への贈り物としてのゲームソフトなどの購入傾向をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 帰省した孫に贈り物。よくある風景。(写真:アフロ)

毎年12月に入ると街の彩りが鮮やかになり、おもちゃ屋やゲームショップでは気合を入れた催しが行われる。一方で新型コロナウイルスの流行により、毎年12月に入ると生じる店舗の混雑を避けるため、購入者側では11月中にプレゼントを買っておこうとの動きも見られる。

この年末商戦の時期では具体的にいつ「他世帯への贈り物として」ゲームやおもちゃが買われているのか。総務省統計局の「家計調査」のデータから検証する。

家計調査では二人以上世帯(原則夫婦世帯)においてのみ、日次の動きに関する調査も行われている。世の中全体の傾向を推し量るのには総世帯(単身世帯+二人以上世帯)の値が望ましいのだが、存在しない以上仕方がないので、この二人以上世帯における日々の支出額(=消費額)を基に、「他世帯への」クリスマスプレゼントとしての購入が期待されているゲーム・おもちゃ系の動向を確認する。

対象とする項目は用途分類における「10.3.4 教養娯楽」。これは自世帯向けではなく他世帯に向けた交際費のうち、教養や娯楽に値する商品を意味する。また同様の使われ方をするものとして「10.3.3 被服および履物」も該当し得る(新しい服や靴などが考えられる。ランドセルは該当しない)。

現時点で日次データが取得できるのは2020年9月分まで。そこで1~12月分が取得可能な2019年に関して、日々の支出を確認していく。

まずは「教養娯楽」。

↑ 二人以上世帯における他世帯への平均支出額(教養娯楽、日次、円)(2019年)
↑ 二人以上世帯における他世帯への平均支出額(教養娯楽、日次、円)(2019年)

多分にギザギザがキツいグラフとなっているが、これは平日にはあまり支出されず、土日に額が高くなる傾向があるため。平日に贈り物としてのゲームソフトやゲーム機本体、おもちゃを購入する機会は得にくいのだろう。

他世帯への贈り物が物品で行われる状況としては、高齢層世帯からその子供世帯(の孫)に贈ることが想定されるが、おおよそそのような機会が発生しやすいお盆休みとクリスマス直前に高い値を示す傾向が見られる。また年末年始や年度末、ゴールデンウィークにもそれなりに高い値が出ている。

続いて「被服および履物」。

↑ 二人以上世帯における他世帯への平均支出額(被服および履物、日次、円)(2019年)
↑ 二人以上世帯における他世帯への平均支出額(被服および履物、日次、円)(2019年)

こちらも年末年始や年度末、またゴールデンウィークに高い値が出る傾向がある。また2月10日に突出した値が出ているが原因は不明。統計上のぶれなのかもしれない。服や靴はイベント的な場面での贈り物としてよりは、気軽に帰省などで訪問を受けたりするたびに買い与えているのだろうか。

お年玉として現金を渡す事例だけでなく、具体的にゲームなどの物品を贈り物として買い与える事例も十分想定できる。今回の「他世帯への贈り物として」の支出精査は、つまるところその動向を見るためのものではあるが、「被服および履物」「教養娯楽」ともにクリスマスプレゼント、あるいはお年玉として買われていそうではある。

残念ながら自世帯内の子供への贈り物としての動向は家計調査ではかなわないものの、他世帯向けとしては明らかに実品贈与が行われていそうだ。

余談ではあるが直近の年末年始に限った動向を見ると次の通りとなる。

↑ 二人以上世帯における他世帯への平均支出額(日次、種類別、円)(2019年11月~2020年1月)
↑ 二人以上世帯における他世帯への平均支出額(日次、種類別、円)(2019年11月~2020年1月)

「被服および履物」は2020年1月の最初の一週間でやや高めな値が出ており、もしかするとお年玉代わりに買われているのではと思わせる動きがある。他方「教養娯楽」では2019年12月7日と12月20日に大きな値が生ている。クリスマスを間近に控えて購入しているのだろう。

「教養娯楽」で興味深いのは年末にかけて値が高くなり(特に12月30日に大きな値が出ている)、年が明けても暫くは高い値を示し続ける動きがある(1月2~3日に大きな値が出ている)こと。帰省した子供世帯とともに初売りか何かで買い与えているのだろうか。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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