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現在飲酒をしている人は53.8%…アメリカ合衆国の飲酒状況をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 飲酒も適量ならばさほど問題は無いはずなのだが。(写真:mon printemps fleuri/アフロイメージマート)

アメリカ合衆国の18歳以上の飲酒率は53.8%

身体にはマイナスの影響を与えることが多いため、昨今の健康志向を受けて飲む人が減っているとされる「お酒」。アメリカ合衆国におけるお酒の飲まれ具合の実情を、同国の医療保険関連の公的機関CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病予防管理センター)の部局BRFSS(Behavioral Risk Factor Surveillance System)の公開値から確認する。なお今件における調査対象は18歳以上、そして現時点での最新データは2019年分。

まずは調査時点で過去30日間にアルコールを口にしたか否か、つまり単純な「現在飲酒率」。全体では2019年時点で53.8%との値が出ている。見方を変えれば、直近30日間にお酒を口にしていない大人は46.2%。

↑ 過去30日間にアルコールを口にした人の割合(アメリカ合衆国、18歳以上、CDC・BRFSS)(2019年)
↑ 過去30日間にアルコールを口にした人の割合(アメリカ合衆国、18歳以上、CDC・BRFSS)(2019年)

男女別では男性の方が10%ポイント強ほど飲酒率が高い。そして年齢別では25~34歳が飲酒のピークとなる(アメリカ合衆国で飲酒が法的に許されるのは21歳以上のため、20歳までは飲酒は禁じられている。そのため法的に飲酒が禁じられ飲むことができない18~20歳が含まれる「18~24歳」層が少なめの値が出るのはある意味当然)。

また属性別では高世帯年収・高学歴ほど飲酒率が高くなる。きれいな右肩上がりをしていることも併せ、意外に思う人も多いかもしれない。付き合いの上で飲酒が必要になる場合も容易に想定できるし、ハードワークの疲れを飲酒で誤魔化しているのかもしれない。また、単純に飲酒にはコストがそれなりに必要なため、金銭的余裕のある無しが反映されているとの見方もできる(学歴は世帯年収と相応の相関関係があり、多分な因果関係も考えられる)。

ヘビードランカーは1ケタ%

それでは飲酒の程度はどれほどなのか。そこで「ヘビードランカーか否か」を聞いた結果をまとめたのが次のグラフ。これは男性ならば1週間で14杯、女性ならば7杯以上お酒を飲むか否かを答えてもらい、「飲まない人も合わせた全体に対する比」を算出したもの。アメリカ合衆国の大人の6.5%は「ヘビードランカー」となる。

↑ ヘビードランカーの割合(アメリカ合衆国、18歳以上、男性は週14杯以上・女性は週7杯以上酒を飲む、CDC・BRFSS)(2019年)
↑ ヘビードランカーの割合(アメリカ合衆国、18歳以上、男性は週14杯以上・女性は週7杯以上酒を飲む、CDC・BRFSS)(2019年)

年齢階層別では25~34歳層が一番のヘビードランカー率で8.2%。18~24歳は7.6%だが、この年齢階層は上記の通り年齢制限上の問題があるにもかかわらず、高い値を示している。実際には「飲酒できる人」の多分が結構な量を飲んでいることになる。そして年を取るに連れて値は下がっていく。

世帯年収別、学歴別でも、単なる飲酒率同様に、おおよそ高世帯年収・高学歴ほど値は高くなる。結果として「飲酒者に限定したヘビードランカー率」を計算すると、低世帯年収・低学歴者の方が高くなる。例えば世帯年収5万ドル以上の人の「飲酒者におけるヘビードランカー率」は12.1%だが、1.5万ドル未満の場合は16.7%となる。また男女別では違いはあまり見られない、むしろ女性の方が高い値を示している。

↑ 過去30日間にアルコールを口にした人におけるヘビードランカー率(アメリカ合衆国、18歳以上、CDC・BRFSS)(2019年)
↑ 過去30日間にアルコールを口にした人におけるヘビードランカー率(アメリカ合衆国、18歳以上、CDC・BRFSS)(2019年)

年齢はともかく、世帯年収で飲む人の飲み方が違ってくる傾向は興味深い話には違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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