電子書籍リーダーとタブレット型端末の所有・利用状況をさぐる(2020年公開版)

↑ 電子書籍革命の立役者的存在とも呼ばれた電子書籍リーダーだが。(写真:アフロ)

持てはやされた電子書籍リーダーの現状

高性能を誇るものの機動性が今一つのパソコンと、機動力に長けるが性能面や入力インターフェイスの上で難があるスマートフォン。それぞれ一長一短の性能を持つ両端末の合間にある存在とも表現できるタブレット型端末。また、新時代の読書スタイルともいえる電子書籍を購読・閲読するのを主目的とした、専用タブレット型端末として電子書籍リーダーも普及が著しいように見える。今回は総務省が2020年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、電子書籍リーダー、そしてタブレット型端末の普及・利用状況を確認する。

次に示すのは電子書籍リーダーの回答者自身における利用状況。「利用している」「利用していない/将来欲しい」「利用していない/将来も欲しくない」の3選択肢から選択してもらっている。なお今件選択肢は回答用紙には「電子書籍リーダー(AmazonのKindleなど)」と記載されている。

↑ 電子書籍リーダー利用状況(回答者自身、属性別)(2019年)
↑ 電子書籍リーダー利用状況(回答者自身、属性別)(2019年)
↑ 電子書籍リーダー利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2019年)
↑ 電子書籍リーダー利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2019年)

全体では利用率は5.7%。10代では利用率が9.2%と高く、学生・生徒でもほぼ同じ値が出ている。保護者が教育のために調達したか、あるいはそれを兼ねて自前で購入し利用している状況が思い浮かばれる。20代以降はおおよそ年齢とともに利用率は下がり、60代では1.4%。職業形態別では学生・生徒以外ではフルタイムの人がもっとも使っているが、それでも6.3%。

世帯年収別では600~800万円未満でイレギュラーが生じているが、おおよそ高世帯年収ほど高い利用率を示している。一方、都市規模別では法則性のようなものは見られない。

非利用者においては1~2割程度が将来欲しいと考えているが、8割前後は将来も欲しくないとする回答。10代、学生・生徒、世帯年収1000万円以上の人がいくぶん将来欲しいとの意見が多いように見えるが、それでも2割強でしかない。大多数は将来も電子書籍リーダーは必要無いとの認識のようだ。

「タブレット型端末が欲しい」学生・生徒では4割強

続いてタブレット型端末。回答用紙の機種に関する説明は「タブレット端末(iPad、Nexus9、GalaxyTabなど)」となっている。

↑ タブレット型端末利用状況(回答者自身、属性別)(2019年)
↑ タブレット型端末利用状況(回答者自身、属性別)(2019年)
↑ タブレット型端末利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2019年)
↑ タブレット型端末利用状況(回答者自身、「利用していない」、属性別)(2019年)

利用率は全体では4割近く、男女別ではやや男性が高い値。そして意外にも10代の利用率が1/3強となっているのが目に留まる(世帯別所有率ではないことに注意)。これはタブレット型端末に関する他の調査でも見受けられる動きだが、スマートフォン同様に家族共有の端末として利用する事例が多々あるからだろう。そして30代で利用率はピークとなり、あとは年齢とともに利用率は下がる。

就業形態別では法則の類は見受けられないが、世帯年収別ではおおよそ高世帯年収ほど利用率が高めの値が出ている。都市規模別では特徴的な動きは無い。

非利用者における利用(≒所有)希望傾向だが、電子書籍リーダーとは異なり、「将来欲しい」で高い値が示されている。全体では2割強、10代では4割強もの人がタブレット型端末の利用を希望している。一方高齢層では利用していないし将来も欲しくない人が多数におよび、60代では5割強が欲しくないと答えている。

世帯年収別においては、利用率は高世帯年収ほど高かったため、当然非利用率は低世帯年収ほど高くなる。そして利用希望率は世帯年収で大きな変化は無し。

アマゾンKindleの日本版で一気に日本国内でも花開いた感もある電子書籍だが、実際のところ電子書籍リーダーの普及状況は今一つで、利用・所有願望もかんばしくない。タブレット型端末の需要の高さと併せ見ると、パソコンやスマートフォン、タブレット型端末による閲読・購読をする人が多分で、電子書籍リーダーを使って電子書籍を読む人は少数派のようにも見える。

機動性の高いモバイル端末とはいえ、複数を持ち運ぶのにはやはり難儀する。スマートフォンなりタブレット型端末の多機能性を併せ考えると、さらにもう一つ電子書籍リーダーを持ち運ぶよりは、多少機能の上で劣っていてもスマートフォンなどで見た方が、総合的な利便性では上になるとの判断が、多くの人に働いているのだろうか。

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※令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2020年1月14日から1月19日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。