休日はテレビを5時間強…高齢層のメディアライフの実情をさぐる(2020年公開版)

↑ テレビは楽な娯楽。高齢層が大好きなのも理解はできる。(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

昨今では社会構造における高齢化に伴い、高齢層の数・対総人口比率が増え、その年齢階層の社会生活上の習慣に注目が集まりつつある。その高齢層においては、テレビなどが好まれることで知られている。これは年を取るに連れてインターネットのような双方向性メディアよりも、テレビや新聞のような一方向性メディアを多用する傾向が強くなるからであり、その理由としては自らの情報発信への気力が減少し、流されることを好むケースが多いからに他ならない。また、長年にわたる生活様式を踏襲しているのも大きな要因。そこで今回は、総務省が2020年9月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から、調査対象としてはもっとも高齢世代にあたる60代にスポットライトをあて、その年齢階層の主要メディアの利用状況を確認する。

次に示すのは60代に限定した主要メディア、具体的には生放送のテレビ、録画して再生視聴したテレビ、インターネット、新聞、ラジオの行為者率。1日単位で該当メディアを利用したか否かを示している。例えばテレビ(生)の平日における値は93.6%なので、60代の93.6%は平日においてテレビの生放送を10分以上連続して視聴したことになる(回答用紙では10分以上連続した行為について記録する様式となっている)。

↑ 主要メディアの行為者率(60代)(2019年)
↑ 主要メディアの行為者率(60代)(2019年)

平日と休日では大きな差が出ていない。つまりメディアには平日も休日も同じように接していることになる。これは同年齢階層の多くが定年退職を迎え、就業や就学をしておらず、自宅にいる機会が多い、少なくとも就業に時間を拘束されるケースがあまりないことを意味する。

多くの人はテレビを視聴し、録画の視聴も約2割(録画は年齢階層別の差異があまりなく、全年齢階層でこの程度の比率)。インターネットの利用率はパソコン・携帯電話合わせても6割台に留まり、残りの4割足らずはインターネットを常用していないことになる。一方で新聞の購読率は5割台。少なくとも今調査の限りでは、60代でも新聞を閲読するよりインターネットを利用する人の方が多いことになる。

利用時間の平均値(利用していない人=時間ゼロとした、調査対象母集団全体の平均)を見ると、高齢層のメディアライフがより一層透けて見えてくる。

↑ 主要メディアの平均利用時間(60代、分)(2019年)
↑ 主要メディアの平均利用時間(60代、分)(2019年)

平日よりも休日の方がテレビ視聴時間は長いが、それでも平日に限っても4時間強はテレビを観ている。「ながら視聴」が多分にあるのでは、との推測もできるが、並行利用されうるネットや新聞の利用時間を考慮しても、テレビの時間が長いことに変わりはない。休日に至ると5時間強はテレビを観ている計算になる。録画も合わせれば6時間近く。

インターネットは1日1時間強。新聞は30分足らず。今件は利用者・非利用者も合わせた平均利用時間で、行為者率の動向にも左右されるが、全体としては新聞よりもインターネットの方が多く使われていることに違いはない。

「高齢者層はテレビに釘付け」との表現はオーバーな感はあるものの、ながら視聴の時間が短く、注力視聴時間が長いことを合わせて考えても、テレビを大いに楽しんでいること自体は正しい。内容に没頭してしまうのも無理はない。詳しくは別途の機会を設けて解説するが、メディアの利用目的を尋ねた項目でも、高齢者ほど「いち早く世の中の出来事や動きを知る」「趣味・娯楽に関する情報を得る」の点でテレビを大いに用いている。

高齢層の人数が(絶対人数、全人口に対するシェアの観点で)増えることは、テレビに釘付けな人が増えることをも意味する。人の数そのものだけでなく、形成世論との観点でも、色々と変化が生じそうだ。

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※令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2020年1月14日から1月19日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。