Yahoo!ニュース

熱中症での救急搬送人員数は1週間で690人(2020年9月14日~9月20日)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ もう秋めいた日々が続くが、油断は禁物。(写真:アフロ)

・直近週における熱中症による救急搬送人員数は690人(2020年9月14日~9月20日)。

・年齢階層別では乳幼児が1.2%、少年が16.2%、成人が27.4%、高齢者が55.2%。

・地域別では東京都の62人がもっとも多く、次いで大阪府の55人。

総務省消防庁は2020年9月24日、同年9月14日~9月20日の1週間における熱中症による救急搬送人員数が690人(速報値)であることを発表した。消防庁が確認している今年の累計人員数は6万3537人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では幸いにもゼロ人だったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は9人が確認されている。なお前年2019年の同時期における熱中症による救急搬送人員数は1190人(確定値)で、今回週の人員数はそれと比べると6割足らずで済んでいる。

↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位、速報値(一部確定値)、人)(2020年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位、速報値(一部確定値)、人)(2020年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値、人)(2020年9月14日~9月20日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値、人)(2020年9月14日~9月20日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分比率)(2020年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分比率)(2020年)

昨年に続き今年の夏も法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請、さらに数字目標無しの節電要請ですら必要はない。しかし震災から9年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

また2020年5月時点で気象庁が発表していた最新の夏季予報では、平均気温は平年と比べてやや高め(東・西日本と沖縄・奄美では高く、北日本では平年並か高い)との話だった。降水量は全国的にほぼ平年並との予想と合わせると、熱中症リスクの観点では要注意な状況と判断できる。さらに今年は新型コロナウイルスの流行で、マスク着用を求められる場面が多いことから、熱中症には一層の注意が必要となる。

↑ 季節予報(3か月の平均気温・降水量、6~8月)(気象庁、5月時点)
↑ 季節予報(3か月の平均気温・降水量、6~8月)(気象庁、5月時点)

本来消防庁では昨年と同じように今年においても、熱中症による救急搬送人員数の調査とその結果報告について、5月初日が含まれる週の月曜となる4月27日から開始する形で、逐次報告を行うはずだった。ところが新型コロナウイルス流行へ対応する消防のリソースを最優先するために開始が延期され、調査開始は6月初日が含まれる週の月曜となる6月1日からとなった。消防庁では熱中症による救急搬送人員数の調査は2015年以降では5月から開始しており、6月から開始するのは2014年以降6年ぶりのこととなる。なお終了日は9月末日が含まれる週の週末の予定。

今回発表された各種値は今年の分としては第16週目のものとなる。現時点では速報値であり、今後逐次確定値に切り替えられることになる(確定値は速報値よりもいくぶんの増加が生じることが多い)。

地域別では東京都の62人をはじめ、大阪府の55人、千葉県・愛知県の41人、神奈川県の36人などが人数の上で上位についている。

↑ 東京都の天候と最高気温(度)(2020年9月14日~9月20日)
↑ 東京都の天候と最高気温(度)(2020年9月14日~9月20日)
↑ 大阪府の天候と最高気温(度)(2020年9月14日~9月20日)
↑ 大阪府の天候と最高気温(度)(2020年9月14日~9月20日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(救急搬送人員数上位都道府県、人)(2020年9月14日~9月20日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(救急搬送人員数上位都道府県、人)(2020年9月14日~9月20日)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな官公庁の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)。

↑ 熱中症の応急手当。消防庁配布による熱中症対策のリーフレットから抜粋
↑ 熱中症の応急手当。消防庁配布による熱中症対策のリーフレットから抜粋

すでに9月も下旬に入り、秋の涼しさを実感する日々が続いている。しかし強い日差しや高い気温で熱中症のリスクが生じる日がないわけではない。今年は新型コロナウイルスの流行という特殊要因が加わっており、熱中症を発症する可能性は例年と比べて高い。油断をせずに今一度知識、ノウハウを再確認し、自分自身はもちろん周囲の人も併せ、健康管理に留意してほしいものである。

■関連記事:

【熱中症経験者は1割足らず、予防対策は「水分補給」に冷房、帽子や日傘使用】

【熱中症による救急搬送者の内情を探る】

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)地域別天候と気温のグラフにおける気温の文字の色で、赤文字は真夏日(日中最高気温が30度以上)、赤文字・枠囲みは猛暑日(日中最高気温が35度以上)を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事