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東京都には176.2万世帯…高齢者世帯の実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 高齢者のみ(あるいはそれに18歳未満の未婚の人)の世帯はどれほどあるのか。(写真:アフロ)

社会の高齢化に伴い問題化される状況の一つが、高齢者世帯の増加。高齢者世帯とは65歳以上の人のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯のことを意味するが、何らかのトラブルが生じた際の対応や、日常生活における行動領域において、一般の世帯と比べて難儀を覚えることが多く、より綿密な社会のサポートが求められる。見方を変えると、その世帯が多い地域では、社会保障をはじめとした運営コストのウエイトが大きなものとなる。今回は厚生労働省にて発表された年次定点観測的調査「国民生活基礎調査の概況」(※)の公開データをもとに、高齢者世帯の実情を確認する。

次に示すのは高齢者世帯の世帯数。高齢者のみの夫婦世帯以外に、高齢者一人の単身世帯、高齢者と18歳未満の未婚の人が加わった世帯も含まれている。

↑ 高齢者世帯(万世帯)(2019年)
↑ 高齢者世帯(万世帯)(2019年)

東京都や大阪府、福岡県は元々人口が多いこともあり、世帯数も大きなものとなっている。他に関東各県、北海道、愛知県なども多さが目立つ。地域によっては10万世帯に満たないところも多々見受けられる。

他方、今件はあくまでも世帯数そのものであり、その地域における全世帯に占める割合はまた別。10万件の高齢者世帯があっても、その地域に1000万世帯が存在していれば、高齢者世帯はわずか1%に過ぎないことになる。

そこで各地域毎に全世帯数に対する割合を算出したのが次のグラフ。例えば全国では28.7%と出ているので、全国の全世帯のうち3割近くが高齢者世帯となる。

↑ 高齢者世帯比率(2019年)
↑ 高齢者世帯比率(2019年)

もっとも高い値を示しているのは山口県の36.2%。次いで高知県の35.6%、長崎県の34.3%。他に愛媛県、鹿児島県、北海道、和歌山県まで含め7地域は高齢者世帯が全世帯の1/3以上を占めている。近隣に3世帯あれば、そのうちの1世帯が高齢者世帯な次第。

高いようなイメージがある東京都は28.9%。区部に限ると29.0%。もっとも低いのは宮城県の22.5%。

あくまで今件は指標の一つにしか過ぎないが、高齢社会問題や社会保障に関する話、地域別の高齢問題の差異を検証する上では、大いに役立つものとなるはずだ。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2019年6月6日に世帯票・健康票・介護票、同年7月11日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が21万7179世帯分、所得票・貯蓄票が2万2288世帯分、介護票が6295人分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2019年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・所得票以外に健康票・介護票・貯蓄票の調査も実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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