世帯平均所得は552万円…世帯あたりの平均所得をさぐる(2020年公開版)

↑ お金はとても大切なもの。世帯の所得の実情は。(写真:アフロ)

平均所得は552.3万円、平均所得以下の世帯は61.1%

お金に関する話は何より気になるもの。主な世帯種類別に所得(※)の現状と前世紀からの推移を国民生活基礎調査(※※)の結果から探る。

次のグラフは2018年までの各年における世帯所得の平均額推移を示した図。全世帯の他に、高齢者世帯(65歳以上の人のみ、あるいはそれに18歳未満の未婚の人が加わったもの。例えば高齢世帯に18歳以上の人が加わり、稼ぎ頭がいそうな世帯は該当しない)、児童あり世帯(18歳未満の未婚の人がいる世帯)別の動向もまとめてグラフに盛り込んでいる。

↑ 1世帯あたり平均所得金額(世帯構造別、万円)
↑ 1世帯あたり平均所得金額(世帯構造別、万円)

直近では全世帯平均の所得金額(世帯全体の金額。年金や保険も含む)は552万3000円。児童がいる世帯では働き盛りの世帯主がいる場合が多く、配偶者もパートなどで家計を支えている事例も多々あり、平均所得は高めに推移しており、2018年分では745万9000円となる。一方高齢者世帯では年金による所得が多分を占め、312万6000円となっている。

また経年による変化を見ると、取得可能なデータの期間では20世紀末に最大額を記録し、あとは漸減。2018年における全世帯の552万3000円は、最大値を示した1994年の664万2000円よりは100万円以上も少ない。

直近の2018年分について、額面区分別構成世帯率は次の通り。平均額は552万3000円だが中央値は437万円。平均値以下に多くの世帯が収まっているのが見て取れる。平均所得金額以下の世帯比率は6割を超えていること、そして低所得世帯数の多さ、高所得層によって平均所得がかさ上げされているようすが把握できる。

↑ 所得金額階層別・世帯数相対度数分布(2018年分・2019年調査)
↑ 所得金額階層別・世帯数相対度数分布(2018年分・2019年調査)

世帯平均所得は他の調査でもいくつか値が出ているが、今「国民生活基礎調査の概況」で精査を行う場合は、平均額だけでなく中央値も併用することが望まれる。単純に平均所得だけで勘案すると、世間全体としての実情からのずれが生じかねないからである。同時に、あくまでも全世帯を対象にした値であり、単身世帯や高齢者世帯のような所得金額が元々低い世帯も含まれており、その世帯数の割合が大きく影響することも忘れてはならない。

世帯の種類別に現状を把握

一方、昨今において全体値としての平均所得が減少傾向にある理由の一つに挙げられるのが、低所得世帯となりやすい高齢者世帯数の増加。上記折れ線グラフの通り、児童あり世帯や高齢者世帯それぞれのみでは21世紀に入ってから横ばいを維持しているのにもかかわらず、全世帯の平均額は漸減している(ここ数年は上昇の兆しもあるが)。これは主に年金生活をして所得が低い高齢者世帯の、全体に占める割合が増加しているからに他ならない。

そこで補完情報として3つほどの世帯形態を挙げ、直近年分の世帯数分布を見ていくことにする。まずは母子世帯と高齢者世帯「以外」の世帯による動向。取得データの関係から、1000万円以上の区分がやや粗くなっている。

↑ 所得金額階層別・世帯数相対度数分布(母子世帯・高齢者世帯以外)(2018年分・2019年調査)
↑ 所得金額階層別・世帯数相対度数分布(母子世帯・高齢者世帯以外)(2018年分・2019年調査)

所得のばらつきがやや大きく、平均額以下の割合も低め。平均所得は664.5万円、中央値は579万円となっている。

続いて「標準4人世帯」における値。総務省による定義では「夫婦と子供2人の4人で構成される世帯のうち、有業者が世帯主1人だけの世帯に限定したもの」とある。今件でも同じものと見てよいだろう。つまりは「子供2人持ちの専業主婦がいる世帯における動向」と見ればよい。

↑ 所得金額階層別・世帯数相対度数分布(標準4人世帯)(2018年分・2019年調査)
↑ 所得金額階層別・世帯数相対度数分布(標準4人世帯)(2018年分・2019年調査)

平均所得は757.8万円、中央値は696万円。他のグラフと比べてボリュームゾーンがやや右にシフトしているようすがうかがえる。切り口を変えれば世帯主のみの就労でこのレベルの所得を確保しないと、子供2人世帯において兼業しなくても済む状況は難しいとも見ることもできよう。

最後は「母子世帯」(死別・離別・未婚(いわゆる婚外子、非嫡出子)などで、現に配偶者のいない(配偶者が長期間生死不明の場合も含む)65歳未満の女性と、20歳未満のその子(養子含む)のみで構成している世帯)。ただし今調査では母子世帯の実数は少なく、統計の上ではぶれが生じている可能性が少なからずあることを書き添えておく。

↑ 所得金額階層別・世帯数相対度数分布(母子世帯)(2018年分・2019年調査)
↑ 所得金額階層別・世帯数相対度数分布(母子世帯)(2018年分・2019年調査)

男性より女性の方が平均的な就業対価は低めであることに加え、育児も同時に必要なケースが多々あることから(少なくとも祖父母は同居していない)時間も多分に拘束されるため、所得水準は極めて低い。平均所得は全世帯平均の半分強に留まっている。多くは望まずしてその立場にあることを考えれば、世帯数そのものは少数であるとはいえ、社会全体によるサポートが強く求められるところではある。

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※「所得」と「収入」

一般的には「所得」と「収入」は同義語として用いられる場合もあるが、税法上は収入から経費や控除を引いて、課税額を判断するための算定額を意味する。国民生活基礎調査では用語の説明中で今回取り扱った「所得」に関して「稼働所得」「公的年金・恩給」「財産所得」「年金以外の社会保障給付金」「仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得」と分類し、さらに「稼働所得」は「雇用者所得」「事業所得」「農耕・畜産所得」「家内労働所得」と区分している。

そのうち「雇用者所得」は「世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額をいい、税金や社会保険料を含む。なお、給料などの支払いに代えて行われた現物支給(有価証券や食事の支給など)は時価で見積もった額に換算して含めた」と説明されており、税引き前の額面を意味している。サラリーマンの場合は給与明細を見れば分かる通り、あらかじめ控除として税金や社会保険料の額が引かれて上で手取り収入として渡されるため、実質的には今件の「所得」は収入に近しい。また「事業所得」は「世帯員が事業(農耕・畜産事業を除く)によって得た収入から仕入原価や必要経費(税金、社会保険料を除く。以下同じ)を差し引いた金額をいう」とあり、こちらは所得そのままを意味する。

一方、税法上ではサラリーマンなどが受け取る給与に該当する給与所得は、収入金額から給与所得控除額を引いた額が相当。またいわゆる「可処分所得」は実収入から税金、社会保険料などの非消費支出を差し引いた額で、俗にいう手取り(収入)を意味する。

国民生活基礎調査で雇用者所得が実質的に収入に近しい値で算出されているのは、税金や社会保険料は経費ではなく、他の稼働様態ならば所得から改めて支払うことになるためである。

※※国民生活基礎調査

全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2019年6月6日に世帯票・健康票・介護票、同年7月11日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が21万7179世帯分、所得票・貯蓄票が2万2288世帯分、介護票が6295人分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2019年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・所得票以外に健康票・介護票・貯蓄票の調査も実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。