1000万世帯超えてなお増加中…共働き世帯の実情をさぐる(2020年公開版)

↑ 今やごく当たり前となった共働き世帯だが。(写真:アフロ)

1000万世帯を超えてさらに増加中の共働き世帯

核家族化の進行と消費性向や可処分所得、就業に関する世界観や労働環境の変化に伴い、共働きはごく普通のライフスタイルとなりつつある。共働き世帯の実情を、厚生労働省の国民生活基礎調査(※)の結果などを基に確認する。

子供がいる世帯における母親の就労状況は次の通り。なおグラフ中の児童とは18歳未満の未婚の人を意味する。

↑ 仕事ありの母の割合(児童あり世帯比、「母の仕事の有り無し不詳」は含まず、末子の年齢階層別)
↑ 仕事ありの母の割合(児童あり世帯比、「母の仕事の有り無し不詳」は含まず、末子の年齢階層別)

しかし子供がいない世帯でも共働き(夫婦双方の就労状態)をしている場合はよくあるパターン。上記のグラフの結果だけでは、共働き全体の現状を把握することはできない。

そこで「男女共同参画白書」の最新版(2020年7月発行分)を確認し、その中から該当するデータを抽出。過去のデータと照らし合わせて整合性を確認した上で、2019年分を反映させたのが次のグラフ。直近の動向が分かりやすいよう、21世紀以降のもののみのグラフも併記した。なお2011年はグラフ中特記にある通り、2011年の東日本大震災における被災三県を除外して計算している。

↑ 共働きなど世帯数(万世帯)
↑ 共働きなど世帯数(万世帯)
↑ 共働きなど世帯数(万世帯)(2001年以降)
↑ 共働きなど世帯数(万世帯)(2001年以降)

グラフ中の項目で「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」とは「夫が非農林雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口か完全失業者)」、「雇用者の共働き世帯」とは「夫婦ともに非農林業雇用者の世帯」を意味する。つまり今件では「単身世帯」「夫婦ともに非雇用世帯(年金生活者など)」「世帯主が事業者(経営者や個人事業、商店主など)」「農林業従事者世帯(農業で生活している人など)」などは含まれない。

今件データの対象となる「夫が勤め人、妻が専業主婦」世帯と「夫も妻も勤め人」といった共働き世帯数の推移としては、「夫が勤め人、妻が専業主婦」世帯が1990年まで漸減、それ以降はしばらく横ばい。しかし2000年以降は再び漸減の傾向にある。一方で「共働き世帯」は1990年まで漸増、それ以降は横ばい。しかし2005年あたりから再び増加に転じ、2012年以降は増加の勢いが強くなっている。

両項目の関係で見ると、1990年から2000年の間はほぼ同数で推移しているが、2000年以降は1990年以前と比べて逆転現象が起き、「共働き世帯数 > 夫が勤め人・妻が専業主婦世帯」の構図が維持されている。しかも両世帯数の差は年々広がる傾向にある。これは夫の可処分所得の減少を妻がパートで補う、妻が働きやすい非正規雇用の仕組みが整備された(さらには企業による需要が増えた)ことなどを起因とする。

全世帯に占める比率の算出

世帯数そのものは世帯構成人数の減少に伴い増加傾向にある。そこで単純に共働き世帯数の推移だけでなく、「全世帯に占める割合」も算出し、グラフ化する。

つまり上記ではグラフ作成時に該当しなかった世帯、「単身世帯」「夫婦ともに非雇用世帯(年金生活者など)」「世帯主が事業者(経営者や個人事業、商店主など)」「農林業従事者世帯(農業で生活している人など)」などを合わせた全世帯数に対し、「共働き世帯」などが占める割合、その変移をグラフにする。世帯数そのものは「国民生活基礎調査の概況」から容易に取得できるため、これを用い、比率計算を行う。

↑ 共働きなど世帯数の全世帯数に占める割合
↑ 共働きなど世帯数の全世帯数に占める割合
↑ 共働きなど世帯数の全世帯数に占める割合(2001年以降)
↑ 共働きなど世帯数の全世帯数に占める割合(2001年以降)

「就労夫に専業主婦」の割合が年々減少している(約40年で約1/3)のはともかくとして、「全世帯数に占める共働き世帯の占める割合」は1990年以降ほぼ横ばいを維持していたという、意外な結果が確認できる。これは年金生活者や単身生活者の増加により、日本の世帯数そのものが増加傾向にあるので、(共働き世帯数そのものが増加していても)全体に占める比率としては一定率が維持されたままになる仕組みである。

もっとも2010年以降は少しずつ増加の気配があり、2015年以降は明らかな増加傾向にある。ライフスタイルの変化や可処分所得の物足りなさへの対応、さらには景況感の回復に伴う労働力需要の増加による雇用条件の改善によるものと考えられる。

「共働き世帯数の全世帯数比率がほぼ2割を維持」し続けていた理由については、納得のいく説明が見つからない。裏付けとなる社会的規範・法令の変化があればよいのだが、それも見当たらない。不思議な現象だが、社会構造学的にこのような均衡が自然に生じる結果となった可能性はある。

見方を変えれば、この比率がさらに上向くようなら、社会全体として大きな変化が生じていることのシグナルととらえるべきだろう。その点ではここ数年の大きな上昇は、まさにそのシグナルといえよう。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2019年6月6日に世帯票・健康票・介護票、同年7月11日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が21万7179世帯分、所得票・貯蓄票が2万2288世帯分、介護票が6295人分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2019年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・所得票以外に健康票・介護票・貯蓄票の調査も実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。