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9歳以下の子供達の平日でのインターネットの利用時間の実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 睡眠時間を削ってまでスマートフォン。利用時間の実情は。(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

インターネットは魔法のツール。大人以上に好奇心に満ちあふれ、自制心がはぐくまれていない子供達は、寝食を忘れ没頭してしまうことだろう。実際に子供達はどれほどインターネットを利用しているのだろうか。9歳以下の子供達の実情を、内閣府が2020年4月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容から確認する。

次に示すのは多様なインターネットにアクセスできる機器のいずれかでインターネットを利用している人に限定し、それぞれの端末で平日に何分インターネットを使っているかを尋ね、その平均値を算出したもの。使っていない人はゼロ分としている(「インターネットを使っている」のにゼロ分と回答するのは、平日は使わずに休日のみ使っているから)。なお名前の後に「*」がついている端末は、その端末でインターネットを利用している人が50人に満たなかったため、統計的に誤差が生じている可能性があることを意味する。

↑ 平日における該当機器でのインターネットの平均利用時間(9歳以下、何らかの機器でインターネットを利用している人限定、*は参考値、機種別、分)(2019年)
↑ 平日における該当機器でのインターネットの平均利用時間(9歳以下、何らかの機器でインターネットを利用している人限定、*は参考値、機種別、分)(2019年)

複数の機種でそれぞれインターネットを使っている人もいるため、総計としては約1時間半。単独端末で一番長いのはインターネット接続テレビで58.0分。インターネットの接続に関係無く普段使いでもっともよく使われているテレビにおいて、インターネットを頻繁につなげて利用しているからだろうか。

次いで契約切れスマホが55.4分、携帯ゲーム機が49.7分、タブレット型端末が48.4分、据置型ゲーム機が48.2分。パソコンと比べると随分と長い。

これを対象となる子供の年齢階層別に見たのが次のグラフ。なおゼロ歳と1歳は統計の上でぶれが容易に生じ得る母数しかないので「*」がついている。

↑ 平日におけるインターネットの該当機器での平均利用時間(9歳以下、何らかの機器でインターネットを利用している人限定、*は参考値、年齢階層別、分)(2019年)
↑ 平日におけるインターネットの該当機器での平均利用時間(9歳以下、何らかの機器でインターネットを利用している人限定、*は参考値、年齢階層別、分)(2019年)

おおよそ年上になるに連れて時間が伸びる傾向を示している。とはいえ、2歳や3歳の時点でインターネットを使っている子供限定だが、すでに平日でも1時間以上は利用しているのが実情ではある。

これらの値はあくまでも平均値であるため、平日は該当機器ではまったく使っていない人もいれば、2時間も3時間も使っている人もいる。そこで回答者の子供のうち、2時間以上と5時間以上の回答率を抽出したのが次のグラフ。あくまでも平日であること、7歳以上は小学校に上がっていることに注意されたい。なお空欄の属性は回答者そのものがいなかったことを意味する。

↑ 平日における該当機器でのインターネットの平均利用時間(9歳以下、何らかの機器でインターネットを利用している人限定、*は参考値、特定時間以上の人の割合、年齢階層別)(2019年)
↑ 平日における該当機器でのインターネットの平均利用時間(9歳以下、何らかの機器でインターネットを利用している人限定、*は参考値、特定時間以上の人の割合、年齢階層別)(2019年)

2時間以上は大体1割台から3割台。3歳でイレギュラーが生じている以外は、年齢が上がるに連れて割合も高くなっていく。一方で5時間以上は2歳以上のいずれの年齢階層も数%の値を示している。今件が保護者の掌握している限りでの値で、実際にはもっと長時間かもしれないことを考えると、色々と考えさせられる結果には違いない。

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※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書

今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2020年1月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年1月10日から2月14日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2225人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ61人、38人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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