ガラケーとスマートフォンのインターネット利用状態の詳細をさぐる(2020年公開版)

↑ スマートフォンとガラケー。好みで使えばよいまでの話だが。(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

若年層は圧倒的にスマホ

欧米からは遅れる形となったものの、日本でもようやく携帯電話の利用が従来型携帯電話からスマートフォンへとシフトしつつある。スマートフォンに利用機種が移行されるもっとも大きな理由は、インターネットへのアクセス機能のケタ違いの向上ぶりにあるわけだが、それでは現時点において、携帯電話を用いたインターネット利用状況はどのようなパワーバランスにあるのだろうか。総務省が2020年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の報告書・公開データを基に、その実情を確認する。

次以降に示すのは、該当利用端末を「携帯電話(従来型携帯電話(PHS含む)以外にスマートフォンを含み、タブレット型端末は含まない)」に限定したインターネットの利用率。また各値は全体比(未回答者除く)における値。例えば「全体の従来型携帯電話のみの値は5.6%」と出ているので、調査対象母集団全体(携帯電話保有者やインターネットの利用者限定ではない)の5.6%が、過去1年間においては従来型携帯電話のみでインターネットを利用した経験があることになる。

↑ 携帯電話によるインターネット利用率(過去1年間、年齢階層別)(2019年)
↑ 携帯電話によるインターネット利用率(過去1年間、年齢階層別)(2019年)

若年層におけるスマートフォンの浸透ぶりが目に留まる。13~19歳では従来型携帯電話と併用している人も合わせると76.6%。そして20代になると従来型携帯電話からの乗り換え(かつそのまま併用)をしている人も合わせ、9割を超える。従来型携帯電話のみの利用者は3.7%でしかない。

30代以降は従来型携帯電話との併用も合わせ徐々にスマートフォンのネット利用者は減り、70代になると3割を切る。また、従来型携帯電話・スマートフォンの利用率の転換点は70代と80歳以上。表現を変えれば、80歳以上の「携帯電話によるインターネット利用」は「従来型携帯電話」経由メインであって「スマートフォン」メインではない。

世帯年収別では?

続いて世帯年収別利用率。これは大方の予想通り、おおよそだが世帯年収が高くなるほど携帯電話によるインターネット利用率は高いものとなる。

↑ 携帯電話によるインターネット利用状況(過去1年間、世帯年収別)(2019年)
↑ 携帯電話によるインターネット利用状況(過去1年間、世帯年収別)(2019年)

一般的には従来型携帯電話よりスマートフォンの方がランニングコストは大きい。昨今、スマートフォンに近い機能を持ち、従来型携帯電話に近い料金プランを活用できる「ガラホ」や、仮想移動体通信事業者(MVNO)によって提供されるSIMカードを白ロム端末やSIMロックフリー端末に用いてスマートフォンとして使用することでコスト軽減を図る「格安スマホ」に注目が集まっているのも、ランニングコストによるもの。低世帯年収の方がやりくりが厳しくなるため、スマートフォンまで手が出せない状況が確認できる。

世帯年収が一定ラインに達すると、スマートフォン「のみ」の所有率はさほど変化が無くなる。いわば天井状態。直近に限れば、世帯年収による携帯電話の利用率において、600万円以上はほぼ同率となる。600万円未満の世帯における低迷こそが、携帯電話経由での情報格差の問題、そして解消すべきポイントといえよう。

世帯構成では特徴的な実情が

最後に世帯構成別。回答者の所属する世帯の構成別で、利用率にどのような変化が生じるかを見たものだ。なお高齢者は65歳以上を意味する。

↑ 携帯電話によるインターネット利用状況(過去1年間、世帯構成別)(2019年)
↑ 携帯電話によるインターネット利用状況(過去1年間、世帯構成別)(2019年)

単身世帯(非高齢者)では金銭的にも余裕があり、自分で操作技術を習得できる場合も多く、モバイル端末によるインターネット利用率全体も、さらにはスマートフォン利用率も高い。一方高齢者のみの世帯では、操作などを教えてもらえる機会も少なく、また自分の日常生活で携帯電話を利用する限りにおいては従来型携帯電話で満足していることもあり、スマートフォンの利用はごく少数となっている。

ところが同じ高齢者でも、二世代にわたる世帯の構成員となると、高齢世帯と比べてスマートフォンによる利用率がそれなりに高い値を示すようになる。回答者本人が高齢者でも、子供などに教えてもらえる機会があり得るため、技術的ハードルを超えやすいものと考えられる。

昨今ではスマートフォンと従来型携帯電話の中間的な立ち位置の「ガラホ」や「格安スマホ」がスマートフォンの代替的な立場として注目を集めている。特に後者は実質的にはスマートフォンと同じため、統計ではスマートフォンとしてカウントされることも多い。今後大きな伸びしろが期待できるのは、低コストを望む層に受け入れられやすい、「格安スマホ」と考えてもよいかもしれない。各スマートフォン関連の値の上昇にも、小さからぬ貢献を果たすだろう。

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※通信利用動向調査

2019年分は2019年12月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われている(一部オンラインでも実施されている)。有効回答数はそれぞれ1万5410世帯(3万9658人)、2122企業。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。