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SNSなどのコミュニケーションツールを小中高校生はどれほど利用しているか(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ いつでもどこでもスマートフォンでやりとり。子供達の利用実情は。(写真:アフロ)

不特定多数と容易にやり取りができるインフラとなるインターネットと、そのインターネットにいつでもどこからでもアクセス可能な携帯電話、中でも機能が充実したスマートフォンの浸透により、未成年者の間でもインターネットを用いたコミュニケーションは急速に普及しつつある。その利用状況について、今回は内閣府が2020年4月に報告書を発表した、「令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の公開値から、現状を確認する。

次に示すのは小中高校生が主に使っている、インターネットへのアクセス機器となるデスクトップパソコン、ノートパソコン、従来型携帯電話、スマートフォンそれぞれでインターネットを利用している人における、コミュニケーションツール(電子メールやメッセンジャー、チャット、ソーシャルメディアなどを合わせた意思疎通サービスすべて)を利用している人の割合。例えば全体でデスクトップパソコンの値は18.6%とあるので、小中高校生あわせデスクトップパソコンでインターネットを使っている人のうち18.6%は、その端末でメールやソーシャルメディアなどを使っていると回答したことになる。頻度は問われておらず、回答者の認識で「使っている」と判断したものであることに注意。

なお従来型携帯電話を用いてインターネットを利用している人はごく少数で、統計の上でぶれが生じやすくなっているので注意が必要。例えば高校生ならば男子が5人、女子は7人でしかない。

↑ コミュニケーションツールの利用状況(該当端末でインターネット利用者限定)(2019年)
↑ コミュニケーションツールの利用状況(該当端末でインターネット利用者限定)(2019年)

該当端末でインターネットを利用している人におけるツール利用率であることから、端末そのものの利用率は影響を与えないものの、パソコンでは高学年の方が高い値を示している。パソコンは保護者の監視の下で使われているか、保護者と共有のものを利用しており、コミュニケーション系のツールは使いにくい実態が表れている。年上になると自前で調達している場合や、子供のプライバシーに配慮する保護者の事例が出てくると考えると道理は通る。

携帯電話では従来型携帯電話は学校種類を問わずに高い値を示している(高校生では一部統計上のぶれが出ているが)。これは元々従来型携帯電話がスマートフォンと比べて機能が限られており、コミュニケーションツール利用の専用機的な使われ方をされているのに加え、防犯用として保護者との連絡ツールとして用いられ、電子メールなどを使っているからだと考えられる。

他方スマートフォンは小学生では保護者からコミュニケーションツールの利用を差し止められている場合もあってか、利用率は低め。しかし中学生となると8割台に跳ね上がり、高校生では9割台となる。具体的にどのようなツールが使われているか確認したいところだが、2013年分までのような電子メール、ソーシャルメディア、チャット系サービスとの区分は無く、確認は不可能。

これについて各端末そのものの利用率を考慮し、各属性全体に占める比率を算出したのが次のグラフ。例えば小学生全体のスマートフォンは16.4%とあるので、小学生全体において16.4%はスマートフォンでコミュニケーションツールを利用していることになる。

↑ コミュニケーションツールの利用状況(各属性全体比)(2019年)
↑ コミュニケーションツールの利用状況(各属性全体比)(2019年)

元々パソコンはインターネット利用者内でも利用率が低かったが、加えて端末そのものの利用率が低いので、全体に占める利用状況はさらに低いものとなる。高校生でもノートパソコンでコミュニケーションをしている人は1割に満たない。

一方携帯電話となると、従来型携帯電話は学校種類を問わず1%内外に留まってしまう。端末そのものの利用が少ないのが大きな要因。他方スマートフォンは中学生ですでに5割台、高校生になると8割台に達する。スマートフォン利用者限定ではなく、高校生全体で83.2%、女子高生に限れば85.1%が、スマートフォンでコミュニケーションをしている現状は、ほんの2、3年前まではとても考えられなかった図式に違いない。無論、従来型携帯電話による電子メールからのシフトとの形になるのだが。

またインターネットにおける各種サービスの中でも、コミュニケーションツールは利用頻度が高い。そのツールにおいて利用端末のほとんどがスマートフォンであり、パソコンがほぼ使われていない実情は、「若年層のパソコン、キーボード離れ」を印象付けさせる一つの結果ともいえよう。

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※令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査

2020年1月10日から2月14日にかけて、2020年1月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3194人(うちウェブ経由は255人)、保護者は3384人(うちウェブ経由は115人、郵送回収法は41人)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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