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デジカメは何年で買い替えられているのだろうか(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマートフォンに立場を奪われつつあるものの、デジカメもまだ頼りになる存在。(写真:アフロ)

次第に伸びていくデジカメの買い替え年数

昨今では高機能を実装し持ち運びにも便利なスマートフォンのデジカメ機能に押されているが、中庸な機能の実装機や高性能機はまだまだ堅調なデジカメ。そのデジカメの買い替え年数事情を内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。

まずは長期時系列データが用意されている二人以上世帯における推移をグラフ化し、その現状を確認する。

↑ デジカメ買い替え年数(二人以上世帯、年)
↑ デジカメ買い替え年数(二人以上世帯、年)

やや凸凹感はあるものの、全般的には赤い破線による補助線の動きで分かるように、デジカメの買い替え年数は伸びる傾向となっている。最古のデータである2005年から始まる3年間分の平均では約3.2年だったものが、最新の2020年に終わる平均3年では約6.2年。3年ほどの伸びを示している。

デジカメの高性能化が進み、手持ちの機種の買い替え必要性が薄れたこと(購入した時点で十分な高性能の機能を持ち、それ以上の機能を持つ新機種がその後に登場しても、購入意欲が沸かない)が主要因として考えられる。高性能化の一方面である小型化・使いやすさはすでにスマートフォンが確保した領域で、デジカメには大容量・高画質などの精密化・高機能化への方向しか残されていない。それ故に、価格もそれなりのものとなり、そう頻繁に買い替えられなくなっている状況を想定すれば道理は通る。

2014年の特異事項である消費税率引き上げに伴う「駆け込み需要」だが、0.1年分の減少があるものの、統計上のぶれの範囲に過ぎない。デジカメの買い替えにおける買い替え年数の上では、消費税率引き上げの影響は無かったものと考えてよい。

直近の2020年分は6.1年。昨年の6.0年と比べれば0.1年延びた形となった。

この二人以上世帯の動きを単身世帯のそれと重ねてグラフ化したのが次の図。

↑ デジカメ買い替え年数(世帯種類別、年)
↑ デジカメ買い替え年数(世帯種類別、年)

全般的には他のデジタル系アイテム同様、単身世帯は二人以上世帯と比べて買い替え年数が短い。それだけ単身世帯の方が、使っているデジカメのライフサイクルが短いことになる。嗜好品の類であることや、配偶者の視線を気にしなくて済む、お財布事情の問題などが考えられる。

一方2017年以降は単身世帯が長い結果が相次いでいる。さらに2017年をピークとして年々買い替え年数が短くなる動きをも示している。これは多分に統計上の誤差が生じた結果と考えられる。何しろ買い替えを行った世帯数は2018年ではわずかに20世帯、2019年でも15世帯、そして2020年では25世帯のみなのだから。

デジカメの買い替え理由

続いて「買い替え理由」について、二人以上世帯・単身世帯それぞれの属性で確認する。

↑ デジカメ買い替え理由(二人以上世帯)
↑ デジカメ買い替え理由(二人以上世帯)
↑ デジカメ買い替え理由(単身世帯)
↑ デジカメ買い替え理由(単身世帯)

二人以上世帯は比較的理由が安定し、大きな区分変化が無いのが特徴。大体「上位品目」5割前後、「故障」3割台から4割台、「その他」1割から2割ぐらい。デジカメの高性能化や携帯電話のデジカメ機能の高度化でも、配偶者(の視線)がある中でのデジカメ買い替えには、変化を生じさせないようだ。

一方単身世帯はかなりばらつきが見えるが、「上位品目への乗り換え」が概して多い。逆に「故障」要因ではおおよそ二人以上世帯が上。二人以上世帯と比べて回答者の強い意向によるもの、趣味の対象としてデジカメの買い替えを進めているようすがうかがえる。

2014年では二人以上世帯・単身世帯の双方種類とも「その他」の理由が前年から大きく伸びている。買い替え年数の上では明らかな影響は出ていなかったが、他に理由が考えにくいことから、消費税率改定前の駆け込み需要的な買い替えが起き、それが「その他」項目を通年から10%ポイントほどかさ上げした可能性はある。

なお直近数年間ではやや数字のぶれがこれまでと比べて大きい。これは該当世帯数そのものが減ったことによる統計的なぶれとみればよいだろう。何しろ2020年では二人以上世帯でも61世帯しか買い替え世帯は存在しないのだから。

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※内閣府の消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することにより、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。なお2018年10月からは郵送・オンライン併用調査法を導入している。

毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」を今件精査では用いている。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2019年4月~2020年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。もちろん新規に購入した場合や、買い替えが該当時期でなかった場合は回答に加わらない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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