新聞広告費とインターネット広告費の金額はどちらが上なのか(2020年3月発表版)

↑ 新聞とインターネット。そのすう勢・立ち位置を広告費から推測する。(写真:アフロ)

広告市場の取り扱い額は、市場規模を推し量るのみならず媒体の影響力、公知力、社会からの認識力を示す物差しでもある。世間一般への公知力の観点で比較されることが多い(紙媒体としての)新聞とインターネットの広告費の動向を、直近となる2020年1月分までについて、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査の公開資料から確認する。

経済産業省の特定サービス産業動態統計調査において、インターネット広告は単独項目として登場するのは2006年1月以降なので、グラフ化による精査もそれ以降を対象とする。

まずは取得できる全期間における推移。恐らくは2006年1月以前にもインターネット広告はそれなりの額が動いていたはずだが、今件データとして収録されたのは2006年1月の約80.3億円が初めて。一方同時期の新聞広告費は約541.3億円。

↑ 新聞広告費とインターネット広告費(月次、億円)
↑ 新聞広告費とインターネット広告費(月次、億円)

インターネット広告費は2009年までは「漸増」との表現が適切な上昇傾向だった。しかし2010年に入ってからは上下変動幅を大きくしつつ、全体的には上げ幅を拡大する流れにある。特に年末の12月と年度末の3月には大きく上振れするのが特徴的。消費一般もこの時期に拡大する傾向にあるため、より効果的な広告効果を狙うべく、機動力を持ち柔軟性の高いインターネットに広告リソースを一層投入しているものと考えられる。

一方、新聞は静かに減少。2010年に入るとようやく下げ止まった感はあるが、時折大きな減少を示す。そして2015年以降は再び漸減の動きを示しているようにも見える。

「新聞広告費…下げから横ばい、再び緩やかだが下げ」「インターネット広告費…漸増」との動きがあり、2010年半ば以降何度と無く双方がクロスした以上、両者間の立ち位置がいずれ入れ替わるのは容易に想像できた。そして2013年に入ってからは、インターネット広告費が新聞広告費を上回る機会が多々生じ、2015年後半ぐらいからはそれが当たり前となっている。

インターネット広告費の上昇率が大きくなる2010年以降に限り、グラフを再構築したのが次の図。「インターネット広告費>新聞広告費」を記録した月の、インターネット広告費側の値の丸を黄色で塗りつぶしている。さらに差異が分かりやすいように、インターネット広告費から新聞広告費を差し引いた結果の推移も併記した。この値がプラスの場合、インターネット広告費は新聞広告費を上回っていることになる。

↑ 新聞広告費とインターネット広告費(月次、億円)(2010年1月以降)
↑ 新聞広告費とインターネット広告費(月次、億円)(2010年1月以降)
↑ インターネット広告費-新聞広告費の値(月次、億円)(2010年1月以降)
↑ インターネット広告費-新聞広告費の値(月次、億円)(2010年1月以降)

現時点で二者間の立ち位置が逆転、つまりインターネット広告費の額面が新聞広告費を超えた月は2011年3月に始まり、全部で92か月分(直近の2020年1月分まで)。2013年に入ると2月以降は継続してインターネットの優勢が続き、2013年11月と2014年1月にイレギュラー的に逆転現象が起きた以外は、インターネット広告費が優勢の月が続いている(2014年2月以降72か月連続)。

直近における新聞広告費優勢最後の月となる2014年1月分は、都知事選の影響があったことが観測されており、イレギュラー的な要因の結果と考えられる。また1月はインターネット広告の閑散月でもある。そのような出来事が発生する以外においては、「従来型4マスメディアとインターネット」との区分において、「市場規模で比較してテレビ広告の次に来るのは新聞広告ではなく、インターネット広告」との状況は、固定化されつつある。

かつては「あるかも」程度の可能性でしかなかった「新聞の広告市場規模をインターネットが抜き去る」状況が、今やすでに現実のものとなっている。何らかの突発的な出来事によって、今後新聞広告費がインターネット広告費を抜く時期が生じる可能性はゼロでは無いが、全体的な流れを変えることは無いだろう。

メディアのすう勢を推し量る物差しの一つ「広告費市場規模」に関しては、事実上インターネットが新聞を追い抜いたと見て問題はあるまい。

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