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アニメや漫画やゲームのような日本のサブカルチャーへの海外の関心度をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本のサブカルチャーを求めて訪れる海外の人も多い秋葉原。(写真:アフロ)

例えばアニメや漫画、ゲーム、コスプレのような、多様な方面で注目を集める日本のサブカルチャー。実際にはどれほどの注目を集めているのだろうか。新聞通信調査会が2020年3月までに発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)の内容から、その実情を確認する。

最初に示すのは日本のサブカルチャーへの関心の実情。具体例としてアニメや漫画、ゲーム、コスプレ、フィギュア(人形)、アイドルを挙げ、これらの文化に関心があるか否かを尋ねている。

↑ 日本のサブカルチャーへの関心(2020年)
↑ 日本のサブカルチャーへの関心(2020年)

「とても関心あり」「やや関心あり」を合わせて関心派と定義すると、アメリカ合衆国では関心派は3割足らず、イギリスでは2割強、フランスでは3割足らず。イメージと比べると欧米における関心度合いの低さに驚く人がいるかもしれない。一方中国では関心派が6割を超え、タイでも5割近くに達している。もっとも韓国では2割に届かず、欧米よりも低い値に留まっている。これは単純に関心のあるなしというよりは、日本への反発が関心を打ち消してしまっている部分が少なからずあるものと考えられる。

それではこの関心派の人達は具体的にどのようなサブカルチャーに関心を抱いているのか。関心派の人に設問で挙げたアニメや漫画、ゲーム、コスプレ、フィギュア(人形)、アイドルを再び提示し、それぞれについて関心があるか否かを尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 関心がある日本のサブカルチャー(複数回答、関心のある人限定)(2020年)
↑ 関心がある日本のサブカルチャー(複数回答、関心のある人限定)(2020年)

多くの国で関心を集めているのはアニメやゲーム、漫画。アメリカ合衆国ではアニメが一番で次いでゲーム、漫画の順だが、フランスでは漫画が群を抜き、次いでアニメとゲームがほぼ同率、イギリスではゲームがトップで次いでアニメと、国ごとの特性が出ており興味深い。

アジアでは中国だとアニメと漫画が多くの関心を集めており、次いでゲーム、コスプレの順。タイではアニメが群を抜き、次いでフィギュアとゲーム、漫画がおおよそ同率で並ぶ。韓国ではアニメがずば抜けて高い値を示し(諸国中一番高い71.2%)、次いで漫画、フィギュア、ゲームの順となる。

これらの動きはあまくでも関心派の中での割合。参考値として、全体比を算出したのが次のグラフ。例えばアメリカ合衆国のアニメは17.9%とあるので、アメリカ合衆国の中における関心派の17.9%ではなくアメリカ合衆国の回答者全体の17.9%がアニメに関心を持っていることになる。

↑ 関心がある日本のサブカルチャー(複数回答、全体比)(2020年)
↑ 関心がある日本のサブカルチャー(複数回答、全体比)(2020年)

アメリカ合衆国はそこそこの割合のように見えるが、イギリスもフランスもごく少数でしかないのが実情。フランスの漫画への値が16.4%なのが少々目立つ程度か。他方、中国とタイはかなり高めで、特に中国は4割前後がアニメや漫画に関心があると回答している計算になる。他方韓国はイギリスやフランスとさほど変わらないほどの低い値に留まっている。色々と考えさせられる値には違いない。

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※諸外国における対日メディア世論調査

直近発表分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2019年11月から12月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年で統一している。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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