転職先は正規か非正規か…転職者の転職実情をさぐる(2020年公開版)

↑ 現職を辞して転職。これも人生の選択だが、行先の雇用形態は。(写真:アフロ)

現在の職場を自発的に離職する以外に、リストラの対象になる、定年退職や早期退職制度を活用して職を辞する、あるいは他企業からの引き抜きにあう、勤めている会社が倒産するなど、さまざまな理由で現職から離れ、新たな職に就くことを転職と呼んでいる。転職者の中には正規社員だったものが再就職の中で非正規社員としてしか再就職できない場合や、逆に非正規社員から正規社員への転職を果たす人もおり、雇用形態上の観点でもさまざまな人生の躍動感を垣間見ることができる。今回は総務省統計局が2020年2月に発表した、2019年分の労働力調査(詳細集計)の速報結果を基に、直近1年間に離職して新たな職についた人における、正規・非正規の雇用形態の変化の確認を行う。

次に示すのは前職を辞してから1年以内に再就職を果たした人のうち、雇用形態、具体的には正規社員と非正規社員の地位の変化を踏まえ、その動きを示したもの。なお公開値は万人単位までなので、前職と現職で合計人数が一致しない場合もある。

↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、万人)(2019年)
↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、万人)(2019年)
↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、男性、万人)(2019年)
↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、男性、万人)(2019年)
↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、女性、万人)(2019年)
↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、女性、万人)(2019年)

2019年に転職をした人(役員以外、過去1年間に前職を辞した人。以下同)は319万人。そのうち正規社員だったのを辞した人は135万人、非正規は184万人(転職をしていない人もいるので、辞めた人が319万人ではないことに注意)。元正規社員で再び正規社員になれた人は84万人だが、残りの51万人は非正規社員として再就職している。一方非正規社員だった184万人のうち正社員になれた人は42万人で、残りの142万人は再び非正規社員の地位で再就職している。例えばスーパーでパートをしている女性がもう少しよい条件で働ける別のスーパーに転職する場合など、一概に非正規社員の地位が正規社員よりも望まれていないとは限らないが、非正規社員の人が転職をする場合も、正規社員になれる可能性は(人数的に)少数の事例となることが分かる。

男女別に確認しても、男女ともに正規から非正規のケースが、非正規から正規のケースを上回っている。これは多分に定年退職や早期退職者(壮齢・高齢層の離職者)が非正規として再雇用されるケースが多いと考えられる。実際、55歳以上に限定して(絶対人数が少ないため数字上のぶれがいくぶん大きくなることに注意)確認すると、正規社員だった人が非正規社員として転職している事例が極めて多いことが分かる。

↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、男性、55歳以上、万人)(2019年)
↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、男性、55歳以上、万人)(2019年)
↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、女性、55歳以上、万人)(2019年)
↑ 転職者移動状況(過去1年間限定、女性、55歳以上、万人)(2019年)

かつては専門誌がテレビCMなどで盛んに「転職で収入アップ」などのキャッチコピーを用いて喧伝し、転職を推し進める動きがあった。しかし最近ではそのような動きはあまり見られない。労働力調査でも2013年からは転職による収入の上下に関する問い合わせを止めており、今回は雇用状況の違いにのみスポットライトをあてて状況確認を行った。

ここ数年は男女ともに非正規から正規に転職がかなう事例が増加している。それが元々本人の希望によるものであれば、喜ばしい話には違いない。

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