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年齢階層別の交通事故死者数の実情をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 掲示板などでは数字で表されるのみの交通事故死者数。その内情は。(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

警察庁は2020年2月に2019年中の交通事故の状況を精査した報告書「令和元年における交通死亡事故の特徴等について」を公開した。これを基に年齢階層別の交通事故による死者数の実情を確認する。

まずは積み上げ式と個々の年齢階層の値の動きを折れ線グラフにした、年齢階層別事故死者数の推移。これは「事故発生から24時間以内に死亡した人」に限定している。また、直近年に関しては実数値のグラフも作成した。

↑ 交通事故死者数(積み上げグラフ、年齢階層別、人)
↑ 交通事故死者数(積み上げグラフ、年齢階層別、人)
↑ 交通事故死者数(年齢階層別、人)
↑ 交通事故死者数(年齢階層別、人)
↑ 交通事故死者数(年齢階層別、人)(2019年)
↑ 交通事故死者数(年齢階層別、人)(2019年)

全体数が減少の傾向を見せている一方で、紫系統色の階層にあたる高齢者(65歳以上)の部分が他の年齢階層と比べると縮み方が緩やか(=人数があまり減っていない)ように見える。高齢者人口そのものが増加しているのに加え、高齢者の対人口比交通事故死者数が高い値を示しているのが、高齢者の減少率が緩やか、さらには増加している原因。

そこで今度はこれらの動向について、各年毎の交通事故死者数全体に占める割合でグラフにしたのが次の図。一つが棒グラフで、各年ごとに占める割合が分かりやすいように、もう一つは折れ線グラフで、各年齢層毎の割合の変化を見易くしたもの。後者のグラフでは全階層を掲載すると見難くなるため、対象年齢階層を限定して表記している。

↑ 交通事故死者数(各年合計に占める年齢階層別比率)
↑ 交通事故死者数(各年合計に占める年齢階層別比率)
↑ 交通事故死者数(各年合計に対する年齢階層別比率、年齢階層別、一部)
↑ 交通事故死者数(各年合計に対する年齢階層別比率、年齢階層別、一部)

ここ数年の傾向として、死者「数」は(最初のグラフにある通り)各年齢層で減少しているが、高齢層では減り方がおだやか、時として増加の動きすら見せるため、全体に対する比率では逆に増えてしまっている。70代以降、特に80歳以上では増加の一途をたどっている。

↑ 交通事故死者数(各年合計に対する65歳以上の比率)
↑ 交通事故死者数(各年合計に対する65歳以上の比率)

2019年における全交通事故死者のうち65歳以上の比率は55.4%。これまでの公開データの中では最高値の2018年における55.7%に次ぐ高い値である。

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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