共同住宅のエレベーターやオートロックの導入状況をさぐる(2020年公開版)

↑ 高齢者にとって共同住宅へのエレベーターは必要不可欠な存在になりつつある。(写真:アフロ)

日本では指針(長寿社会対応住宅設計指針。法的拘束力はないが事実上のルールとなっている)において6階以上の住宅にはエレベーターを設けることが定められている。今では高層の共同住宅が増えたが、かつては5階建ての団地が多かったのも、それが一因と言われている(5階までならエレベーターを付ける必要はない)。それでは共同住宅におけるエレベーターの設置状況はどのような変化を遂げているのだろうか。共同住宅ではエレベーター同様に普及が進んでいるオートロックの状況と合わせ、住宅・土地統計調査の公開値から確認する。

次に示すのは共同住宅においてエレベーターがある住宅の数と、全共同住宅に対する割合を示したもの。戸数、全体比率ともに上昇を続け、直近の2018年では45.6%に達している。

↑ エレベーターのある共同住宅(戸数と全共同住宅比)
↑ エレベーターのある共同住宅(戸数と全共同住宅比)

このエレベーターの整備率の上昇の背景には、共同住宅の高層化が一因と考えてよい。エレベーターの装備が不可欠な高層の共同住宅が増えるに連れ、エレベーターの普及率が上昇するのは当然の話である。なぜ高層化が進むのかは、よい立地条件の場所には多くの人が住まいを求めるためと考えられる。同じ面積で多くの人を住まわせるには高層化が必要不可欠だからに他ならない。

既存の共同住宅を建て直す場合も、5階以下の事例でもあえてエレベーターを設置する事例がある。これは単なる環境整備に加え、高齢化対応施策であることも一因。高齢者の居住が増える中、階段のみでの昇り降りで難儀させられる物件は、賃貸住宅を選ぼうとする人において優先順位を下げられ、避けられてしまうことになるからである。

高齢化に加え一人暮らし世帯の増加とともに、オートロック式の防犯システムの導入需要も増えている。こちらについては住宅・土地統計調査では2008年度からの調査結果が確認できるが、それによると直近2018年では共同住宅の34.2%が導入を果たしている。

↑ 共同住宅におけるオートロック導入状況(万戸)
↑ 共同住宅におけるオートロック導入状況(万戸)

共同住宅の全体数は増えているが、それ以上にオートロック式の導入戸数は増えており、直近年における全体に占める比率は前回調査の2013年の31.8%から2.4%ポイントほど増加している。オートロック式とひとくくりでまとめても中身は多様で、簡易的なものでしかなく防犯上はさほど役に立たないものから、警備員が駐在して監視カメラも常時回っており、厳しい監視体制におかれた中での稼働のものまである。当然セキュリティのレベルは大いに異なるため、単に「オートロックがある」とのうたい文句だけで安心するのは早計。また昔の公団住宅のように、その構造上導入が不可能な共同住宅もある。

もっともオートロック式を求める賃貸住宅利用者が増加している事実に変わりはない。今後も漸増の形でオートロック式の共同住宅は増えていくものと考えられよう。

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