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一般道路でのシートベルトの着用率ナンバーワンの地域をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 後部座席でもシートベルトは忘れずに。(写真:アフロ)

JAF(社団法人日本自動車連盟)と警察庁は2020年1月24日、自家用乗用車などの利用者を対象に2019年11月に実施した「シートベルト着用状況全国調査」の結果を発表した。それによると一般道路での運転者の着用率は98.8%、高速道路などでは99.6%と高い割合だったのに対し、後部座席同乗者はそれぞれ39.2%・74.1%だった。

↑ シートベルト着用率(走行道路種類別・着席場所別)(2019年)
↑ シートベルト着用率(走行道路種類別・着席場所別)(2019年)

これを一般道路について都道府県別に精査し直したのが、次以降のグラフ。まずは運転者の着用率。元々どの県でも着用率が高いこともあり、グラフの区切りにおける最低値が92%となった。

↑ シートベルト着用率(一般道路、運転者、都道府県別)(2019年)
↑ シートベルト着用率(一般道路、運転者、都道府県別)(2019年)

着用率が最も高いのは長崎県の99.9%、次いで島根県の99.8%。一方、もっとも低いのは大阪府の96.4%、次いで沖縄県の97.6%。0.数%ポイントの差異は誤差と見てもよいレベルだが、最上位と最下位の地域との間には3.5%ポイントもの差が出ている。今回最上位の長崎県は前年でもトップに位置しており、上位の地域が単年による偶発的な着用率の多い・少ない状態にあったわけでは無く、地域的傾向による結果であることがうかがえる。

続いて助手席同乗者。利用状況を想定すれば分かる通り、着用率そのものは運転者とさほど変わらないはずなのだが、実態としては運転者よりも低めの値が出ている。

↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道路、助手席同乗者)(2019年)
↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道路、助手席同乗者)(2019年)

トップの着用率を誇るのは長崎県で98.8%。同県の運転者の着用率は99.9%とトップに位置しており、助手席の着用率上位陣は、運転者のそれと連動性が高いように見える。第2位の栃木県は98.4%で、同県の運転者の99.3%も極めて高い値。

他方、低着用率は沖縄県の87.7%をはじめ、茨城県の92.3%、徳島県の92.4%など。運転者の着用率も低い場所が多く、高着用率の地域同様に「運転者と助手席同乗者との間における、シートベルト着用率の相関関係」がある程度は存在していることが認識できる。

最後に後部座席。全体的に値が低いこともあり、グラフ横軸の区切りの最低値がゼロとなっていることに注意。

↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道路、後部座席同乗者)(2019年)
↑ 都道府県別・シートベルト着用率(一般道路、後部座席同乗者)(2019年)

トップは群馬県の57.0%、次いで埼玉県の54.8%、長野県の53.6%、岐阜県の53.3%、新潟県の51.9%。今年は5地域が5割超えとなった(前年は該当地域は5地域)。最悪値は沖縄県の9.7%、次いで宮崎県の20.5%など。6地域では後部座席同乗者のシートベルト着用率が3割を切っている状況にある。

運転席・助手席同乗者と後部座席同乗者のシートベルト着用率の関連性は一部で連動性があるように見えるが、運転者と助手席同乗者との間のような比較的はっきりしたものは見受けられない。一方で地域性としては、後部座席同乗者のシートベルト着用率は西日本ほど低く、東日本ほど高い傾向があるようにも見える。これは昨年から継続して見られる動きで、さまざまな要因による結果として、傾向のようなものが出ているのかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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