なぜ月ぎめで新聞を取らないのか、その理由をさぐる(2019年公開版)

↑ 新聞を月ぎめで取り朝食時に読む。よくあるパターンだが取らない人が増えている。(写真:アフロ)

新聞を購読するもっともメジャーな様式は世帯単位で月ごとに契約し、定期購読する「月ぎめ」によるもの。その月ぎめの購読者は減少中との話だが、なぜ人々は月ぎめで新聞を取らないのだろうか。実情を新聞通信調査会が2019年11月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果から確認する。

今調査によれば、月ぎめで新聞を取っている人は減少中。もっとも古い記録の2008年度時点では88.6%だったのが、直近年度の2019年度では66.6%にまで減少している。

↑ 月ぎめで取っている新聞(複数回答、新聞種類別)
↑ 月ぎめで取っている新聞(複数回答、新聞種類別)

そこで月ぎめで新聞を取っていない人に、なぜ新聞を月ぎめで取らないかに関して尋ねたところ、直近の2019年度では「テレビやインターネットなど他の情報(源)で十分」とする意見がもっとも多く、70.7%に達することとなった。

↑ 月ぎめで新聞を取らない理由(取らない人限定、複数回答)(2019年度)
↑ 月ぎめで新聞を取らない理由(取らない人限定、複数回答)(2019年度)

次いで多いのは「購読料が高い」で38.6%。単純に値段だけを見て高いと判断したのか、購読料と得られる情報などの便益を比較して高いとの結論に至ったのかは今件では分からない。

次いで「読む時間が無い」「読む習慣が無い」など、購読料がいくら下げられても月ぎめで新聞を取ることは無いだろうとする層の回答が並ぶ。「処分が面倒」は避けようの無い頭の痛い話ではあるが、電子版ならばこの問題はクリアされるはずなのだが。

他方、新聞そのものの忌避傾向に関して、月ぎめで新聞を取らない人も図書館などで読むだろう、あるいは駅や売店などで買うのではとの指摘もあるが、それぞれの回答率は11.5%・5.0%。月ぎめの購読者以外にも新聞の閲読者はたくさんいるはず、との仮説を肯定するのは難しい。

もっとも、例えば「テレビやインターネットなど他の情報で十分」なので「購読料が高い」と判断する、「テレビやインターネットなど他の情報で十分」だから多忙な時間を割くほど「読む時間が無い」など、複数の項目が重なって月ぎめで新聞を取っていない可能性は多分にある。選択肢で連動性がある設問は、複数回答形式の結果でも、推測以上の精度を持つ実情を見出すことは難しい。

回答項目のうち上位回答率を示したものについて、直近年度分に関して属性別で区分した結果が次のグラフ。

↑ 月ぎめで新聞を取らない理由(取らない人限定、複数回答、属性別)(2019年度)
↑ 月ぎめで新聞を取らない理由(取らない人限定、複数回答、属性別)(2019年度)

18~19歳は自分で新聞を買う機会があまり無く、世帯単位で定期購読している、保護者が持ち帰った新聞を読む機会が多いからか「購読料が高い」の回答値が低い。また、自分で処分することもあまり無いため「処分が面倒」も低い。しかし20代以降は自分が世帯主になる場合も多々あることから、「購読料が高い」「処分が面倒」を理由に挙げる人が多くなる。

さらに就業で忙しくなるため30代以降は「読む時間が無い」の値も上昇する(20代が低めなのは意外)。他方「読む習慣が無い」は20代でもっとも高くなりそれ以降は年齢とともに減少していくが、これが年齢階層別によるものか、それとも世代によるものか、現状だけでは確認ができないのは気になるところ。

現時点では月ぎめで新聞を取らない人のうち、「テレビやインターネットなど他の情報で十分」と考えている人が全属性で過半数を占めている。30~50代に限れば7割を超えている。今後さらにインターネットを利用する人が増えるに連れて、テレビやインターネットの情報で十分だから、月ぎめで新聞を取らない人が増えていくのは容易に想像できる。

しかしながらインターネット経由の情報は新聞社自身も配信しているものが相当量存在する。内容は同じであり、「紙の上に刷られたもの」か「インターネット経由で伝えられているもの」かの違いのみとの考え方もある。是が非でも紙媒体としての新聞を月ぎめで取ってほしい、売り続けたいのなら話は別だが、情報そのものの対価を新聞社が求めたいのであれば、テレビやインターネット経由で「紙媒体としての新聞」ならぬ「新聞に掲載されている情報をインターネット経由で」売る施策、一番の具体例かつ現時点ですでに複数社が実施している有料の電子版の展開を、これまで以上に積極化する必要があるのかもしれない。

もちろんインターネットを用いて情報を取得する人たちは、無料で情報の提供を受けるスタイルに慣れている。月ぎめによる新聞の購読者以上に、情報に求める対価の物差しは厳しい。紙媒体の新聞と同じような路線、発想、方針、品質で同等の対価をインターネット経由の読者に求めていたのでは、多くの人が見向きもしない。

実際、多くの新聞社において、有料電子版の読者増加分では、紙媒体版の減少分を補えていない。より厳しい品質チェックと自らを律する心構え、さらには価値を見出してもらえるような仕組み、そして何よりも努力が求められよう。

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※メディアに関する世論調査

直近分となる第12回は2019年8月23日から9月10日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3051人。有効回答者の属性は男性1467人・女性1584人、18~19歳58人・20代296人・30代390人・40代540人・50代490人・60代538人・70代以上739人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。